目次 I-3


3 どのようなものが資本的支出になるのか(1)

用途変更を行うために支出した工事費用
 D社は、E市にある自社所有の2階建ての建物を、従来、1階を事務室、2階を倉庫として使用してきました。
 しかし、1階の事務室が手狭になってきたため、2階部分も事務室として使用することにしました。
 そこで、2階の倉庫部分を事務室に改装する工事を行い、業者にその工事代として400万円を支払いました。
 D社は、この工事費用400万円全額を、修繕費として処理しています。

調査官の指摘
 D社が修繕費処理した工事費用は、倉庫を事務室に用途変更するための費用であり、資本的支出に該当します。

会社の言い分
 建物の内部構造が変わっただけで、この工事により建物自体の寿命が延びたということはありません。
 また、外見上、建物としての機能は何ら変化しておらず、修繕費に該当するものです。



税務判断のポイント

 調査官の指摘どおり、資本的支出に該当します。

 建物等の資産について、その用途を変更するために模様替え等を行い、その資産の機能や利用の内容が変わる場合があります。
 このような場合、その模様替え等のための改造や改装に直接要した費用はその建物の価値等を高めるための支出とされ、資本的支出に該当するものとされています。
 用途変更のための模様替えの具体例としては、本事例のほかに、次のような場合などがあります。

(1) 喫茶店をバーに改装する場合
(2) 普通倉庫を冷凍倉庫に改造する場合
(3) 貨物船を客船に改装する場合


税理士のアドバイス

 建物などに改造や改装工事を行った場合、その費用が資本的支出にならないかどうかをチェックする必要があります。
 改造工事等により、建物の機能や利用の内容が変わる場合は、用途変更のための支出となり、資本的支出に該当することにご注意ください。

【参考法令】  法基通7−8−1(資本的支出の例示)

 

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