目次 IV-8(ニ)


(ニ)  純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算上における取扱い
(1)  自己株式に対する財産認識上の取扱い
 評価会社の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算においては、課税時期における各資産のうちに自己株式がある場合には、当該自己株式を除いて算定する旨の取扱いが財産評価基本通達185(純資産価額)に定められています。(自己株式については、相続税評価額及び帳簿価額ともに、その財産認識をしないものとされています。)

(2)  1株当たりの純資産価額計算上の発行済株式数の取扱い
 1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算においては、上記(1)に掲げる自己株式がないものとして自己株式以外の財産に係る評価差額に対する法人税額等相当額控除後の相続税評価額基準による純資産価額(控除対象である評価差額に対する法人税額等相当額の算定の基礎となる帳簿価額基準による純資産価額の算定においても自己株式の帳簿価額を除外して算定)を当該評価会社の課税時期における発行済株式数により除して計算するものとされています。

 この場合における課税時期における発行済株式数については、財産評価基本通達185(純資産価額)の定めにより、自己株式を有する場合には当該自己株式の数を控除した株式数によるものとされています。

 上記(1)及び(2)の取扱いを基にして、1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算方法を算式で示しますと次のとおりになります。

 (算式)  (算式)

 なお、上記(1)及び(2)に掲げるような取扱いを定めたのは、本来、株式とは会社財産に対する持分であるという考え方からすると、自己株式に係る会社財産に対する持分は、最終的には評価会社の株主のうち評価会社以外の株主の持分に帰属することとなり、結果として、株式の所有を通じての会社財産に対する持分の割合は、評価会社以外の株主の持分の割合の合計を基礎に算定した持分の割合に一致することになるとの考え方に基づくものであると思われます。

(3)  持株割合が50%未満である場合における純資産価額80%評価に対する取扱い
 1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算については、株式の取得者とその同族関係者の有する株式の合計数が評価会社の発行済株式数の50%未満である場合においては、上記(2)の算式により求めた価額の80%に相当する金額で評価するものとされています。

 この場合における発行済株式数については、財産評価基本通達185(純資産価額)の定めにより、前記(2)の取扱いと同様に下記に掲げる株式の数を控除して計算するものとされています。

(イ) 自己株式
(ロ) 議決権を有しないこととされる会社の株式(相互保有株式)
(ハ) 議決権のない株式(配当優先株式)
 この取扱いの適用があるか否かの判定を算式で示しますと次のとおりになります。

 (算式)  (算式)

 このような取扱いを定めたのは、前記(イ)に掲げる評価上の株主区分の判定の場合と同様に、議決権の有無と会社に対する支配力との関係に配慮した結果であると考えられます。

 

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