目次 IV-1


IV.株式の評価Q&A


1.純資産価額により評価する場合の20%の評価減の適用範囲

Question
 A社は開業後まだ2年の会社ですが、直前期末以前1年間における従業員数は100人を超えていますので、大会社に該当します。A社の株主のうち最大の持株割合となる同族株主グループ(持株割合40%)に属する株主X(持株割合10%)の株式はどのように評価すればよいでしょうか。

Answer
 A社は、従業員数が100人以上となり会社規模区分は大会社となりますが、開業後3年未満となるため特定の評価会社にも該当します。したがってA社の株式は、純資産価額(相続税評価額により計算した金額)により評価します。

 また、特定の評価会社に該当し、株式の評価を純資産価額により評価する場合(開業前又は休業中の会社の株式を評価する場合を除きます。)において、株式の取得者とその同族関係者の保有する株式の合計数が発行済株式数(財産評価基本通達188−3(評価会社が自己株式を有する場合の発行済株式数)、同通達188−4(議決権を有しないこととされる株式がある場合の発行済株式数等)及び同通達188−5(議決権のない株式がある場合の発行済株式数等)の定めにより発行済株式数から控除すべき株式がある場合には、当該株式の数を控除した株式数)の50%未満であるときには、1株当りの純資産価額の80%相当額により評価します。

 したがって、上記の場合には、A社は開業後3年未満の会社となり特定の評価会社に該当しますので、その株式の評価は会社の規模区分(大会社・中会社・小会社)に関係なく一律に純資産価額による評価が適用され、更に株式の保有割合から判定して純資産価額から20%の評価減を適用して評価します。

 なお、大会社に該当する場合において類似業種比準価額の計算に代えて純資産価額により計算するときは、一定の株式の保有割合に基づく20%の評価減の適用はできないこととされていますが、これは当該会社が特定の評価会社に該当しない一般の評価会社(換言すれば、類似業種比準価額を使用することが可能な会社)であることを前提とした取扱いですので、上記の場合には会社規模区分は大会社であっても、特定の評価会社に該当しますのでその適用はないこととされます。

(参考)  純資産価額で評価する場合において持株割合50%未満の同族株主グループに属する同族株主の取得した株式を評価する場合における20%の評価減の有無については次表のとおりとなります。





一般の
評価会社
(1)中会社の株式評価のうち本来純資産価額により評価すべき部分
(2)小会社の株式評価(併用方式による場合は(1)の中会社に同じ。)
特定の
評価会社
(1) 比準要素数1の会社の株式を評価する場合(下記に掲げる両方とも)
(イ) 原則的評価方式による純資産価額部分の計算
(ロ) 特例的評価方式による併用方式により評価する場合における純資産価額部分の計算
(2) 株式保有特定会社の株式を評価する場合における原則的評価方式による純資産価額部分の計算
(3)土地保有特定会社の株式を評価する場合
(4)開業後3年未満の会社の株式を評価する場合
(5)比準要素数0の会社の株式を評価する場合




一般の
評価会社
(1)大会社の株式評価を純資産価額で評価する場合
(2) 中会社の株式評価のうち類似業種比準価額に代えて純資産価額により評価した部分
特定の
評価会社
(1) 株式保有特定会社の株式を評価する場合における特例的評価方式であるS1の金額及びS2の金額の算定に際して適用される純資産価額部分の計算
(2)開業前又は休業中の会社の株式を評価する場合
(1)医療法人の出資を評価する場合
(2)企業組合等の出資を評価する場合

 

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