目次 II-2


2 不服申立ての対象

1 不服申立てができる処分、できない処分

 1 不服申立ての対象となる処分

 この不服申立ての対象となる処分については、「国税に関する法律に基づく処分」である旨、国税通則法に定められている(通則法第75条第1項)。

 国税通則法において「国税」とは、国が課する税のうち関税、とん税および特別とん税以外のものをいう(通則法第2条第一号)。そして、「国税に関する法律」とは、国税通則法、所得税法、法人税法、相続税法、酒税法、消費税法、国税徴収法、租税特別措置法等の、国税について課税標準、税率、納付すべき税額の確定、納付、徴収等の事項を規定する法律をいうと考えられている。

 また、「処分」とは、行政権の発動として、行政庁が行政法規を具体的に適用しまたは執行することによって、法律上の効果を発生させる行為をいうとされている。不服申立ての対象とされる「処分」としては、更正、決定、再更正、賦課決定、滞納処分、税法上の各種申請に対する許否、青色申告の承認申請の取消し等がある。

 不服申立てをすることができる者は、国税に関する法律に基づく処分によって直接自己の権利または法律上の利益を侵害された者である。


 2 不服申立ての対象とならない処分

 国税通則法では、不服申立てになじまないものについては、「国税に関する法律に基づく処分」に含まれないものとしている。

 具体的には以下のものがある。
  1) 不服申立てについてされた処分(通則法第76条第一号)
  2) 国税犯則取締法に基づき国税局長、税務署長等の行う処分(通則法第76条第二号)


2 修正申告と不服申立て

 納税申告書を提出した者または更正決定の処分を受けた者は、その法定申告期限後において、その申告または更正決定に係る税額が過少であること等を理由として、その税額等を変更するために納税申告書を提出することができる。この納税申告書を「修正申告書」という(通則法第19条)。

 修正申告書は、租税特別措置法等の規定によりその提出が義務付けられている場合もあるが、通常は、納税者が任意に提出するものである。


3 不作為と不服申立て

 行政庁の不作為については、行政不服審査法に基づき救済が図られている。

 同法上、「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分その他公権力の行使にあたる行為をすべきにかかわらず、これをしないことをいう(行服法第2条第2項)。

 不作為が救済の対象とされているのは、国民の行政庁に対する行為について行政庁側の事務の促進を図るためと考えられており、このことは、一般の行政行為と、国税関係における行為とで差があるものではない。

 したがって、課税庁の行う不作為についての不服申立ては、すべて行政不服審査法の定めるところによるとされている。

 

目次 次ページ