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10 代表取締役の選任 |
1 代表取締役の選任方法 非委員会型取締役会設置会社は取締役会の決議をもって会社を代表すべき取締役を定めなければなりません(会362)。取締役会の決議は、取締役の過半数(定款で引上げ可)が出席してその取締役の過半数(定款で引上げ可)をもって決議されます(会369)。この場合、被選任者は特別利害関係人とならず、取締役会における代表取締役の選任決議に参加することができ、その被選任者も定足数に算入されます。 ところで、定款をもって代表取締役の選任を株主総会の権限とできるかどうかについては、代表取締役が会社法上は会社の代表機関であり取締役の代表機関でないため認められるという説がありますが、通説では取締役会は代表取締役の監督義務があり、代表取締役の選任・解任権も与えられなければその監督の実効性も得られないとして、代表取締役の選任を株主総会の権限とすることはできないとされています。 なお、代表取締役の代表権は、会社との間の代表権授与契約に基づくと考えられており、取締役会で代表取締役に選任されてもそれをもって当然に就任するわけではなく、代表取締役の選任の効果が生じるためには、被選任者の承諾も必要というのが通説です。 一方、非委員会型取締役会設置会社以外の会社は、代表取締役の設置は任意となっており、定款、定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会の決議により、取締役の中から代表取締役を選定することができます(会349)。 2 員数 (1) 会社法の規定 会社法上取締役会設置会社の取締役は3名以上でなければなりませんが(会331)、代表取締役の員数については特に定めがなく、最低1名で足ります。上限下限は会社が定款をもって定めることができます。実務上は代表取締役会長、代表取締役社長とするなど、複数の代表取締役を置く会社が多いようです。 (2) 定款による規定 定款をもって代表取締役の上限下限を決めることができますが、最低1名の代表取締役が必要です。定款の定めがない場合は、代表取締役を何名選任しても認められます。 (3) 共同代表 旧商法では数人の代表取締役が共同して代表すべきことを定めることもできましたが、会社法では廃止されました。 3 任期 代表取締役の任期についての法律の規定はありませんが、代表取締役は取締役から選任されますので、取締役の任期である2年が通常適用されます。代表取締役は会社の意思によらずいつでも自ら辞任することができ、取締役会も決議により代表取締役を解任することができます。 4 就任登記 代表取締役の氏名、住所は登記事項であり、代表取締役を選任したときは、本店の所在地においては2週間内に、就任の登記をしなければなりません(会 911)。 |