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2 相続欠格 |
1.相続欠格 推定相続人(被相続人となるべき者の存命中のある時点において、仮に相続が開始したとすれば、法令上、その相続人となるべき立場にある者をいう。この地位は、先順位相続人の出現等によって変動する不確定なものにすぎない)のうち、次に掲げる者は、相続人となることができない。これを「相続欠格」という。
2.相続欠格の効果 相続欠格の効果は、その事由と直接関係のある被相続人との間においてのみ生ずる。たとえば、父を殺害して刑に処せられた子は、父の相続及びその妻(母)の相続において欠格者となるが、自己の子との関係では、他に欠格事由がない限り、その相続人となり得る資格を失わない。 他方、相続欠格者が、事実上相続財産を管理している場合に、その全部または一部を処分したときは、その相手方となった第三者は、真正な相続人との関係で、自己の権利取得を対抗することができない。取引関係の安全よりも、相続人の利益を優先的に保護する趣旨である。ただし、当該第三者が、相続欠格者に対し、損害賠償請求その他の方法により債務不履行ないし不法行為の責任を追及できることはもとよりである。 なお、相続欠格は法定の効果であり、これを免除する方法について特段の規定がないことから、被相続人が相続欠格者を許し(欠格事由の存在を不問に付し)、その相続権を回復させることはできないと解するのが通説の立場とされる。 |