目次 II-6(2)


(2) 高収益の賃貸不動産を贈与する

 賃貸建物を贈与した場合、贈与税の課税価格は、固定資産税評価額×(1−借家権割合)になります。高収益の賃貸不動産を子供に贈与すると、その収益が子供に帰属し、しかも相続発生時の納税資金の原資となります。さらに所得の分散にも役立ち所得税の節税にもなります。

 注意点としては、賃貸建物の敷地については使用貸借(地代の支払はその敷地の固定資産税相当額以下)とし借地権の課税が生じないようにします。

 賃貸建物はその入居者の借家権を考慮し、当該建物の相続税評価において借家権相当額を控除することとしています。また、その敷地についても当該借家権の一部が及ぶとの考え方から「貸家建付地」として、借地権割合・借家権割合及び賃貸割合を乗じて求めた割合を減額することとしています。

 賃貸建物の贈与があった場合に、贈与後においても貸家及び貸家建付地として評価されるのは賃借人について異動がない場合に限られています。これは、贈与前後において実態が変わらないこと等に配慮して使用貸借通達4(使用貸借に係る土地等の上に存する建物等を相続又は贈与により取得した場合)にその旨の取扱いが明記されています。

 しかし、贈与後に賃借人の異動があった場合には、その時点において受贈者がその後の利用を意思決定するものであり、その敷地の地代等の支払がない場合には、原則として使用貸借であることからその敷地は自用地(更地)として評価することとされています。

 そこで、贈与後に賃借人の異動が生じないように、贈与する以前に家族が主宰する不動産管理会社等に一括して賃貸します。そして、その会社が第三者に転貸していれば、賃借人は異動しないので、将来相続が発生したときのその敷地は「貸家建付地」として評価することができます。

 

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