目次 ケース12


 第5章 相続財産を評価する(土地編)

ケース14  土地の現地調査はかならず行う

Question

 相続財産である土地は、市街地かつ路線価地域に所在する整形な土地です。測量図で実測や形状も確認できるため、現地に行かなくても適正な評価は可能でしょうか。


Answer

 路線価地域における宅地の評価額は、ご質問のとおり「路線価×地積」で算出します。しかし、路線価はその路線に面する宅地のうち、最も標準的な宅地を基準として評定されています。つまり、その路線価を評定する際の基準となった宅地以外の宅地の評価は、路線価をベースにそれぞれの個別的減価要因を取り込み評価する必要があるということです。このことから、適正な評価のためには現地調査は必須といえるでしょう。


[解 説]

1 路線価の意義

 路線価とは、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線ごとに、売買実例価額、公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として、国税局長が評定したその路線に接する宅地の1平方メートル当たりの価額をいいます。

 この場合の宅地の選定に際しては、次の事項が考慮されることとなっています。

 1) その路線のほぼ中央部にあること
 2) その一連の宅地に共通している地勢にあること
 3) その路線だけに接していること
 4)  その路線に面している宅地の標準的な間口距離および奥行距離を有する長方形または正方形のものであること


2 現地調査により判明する減価要因の一例

 1) 敷地上に高圧線が通っている
 2) 隣接地に墓地がある
 3) 悪臭、騒音、日照障害
 4) 前面道路との高低差
 5) がけ地
 6) セットバック
 7) 対象地の一部が私道
 8) その他不動産価格の形成に影響を与える事項


Check!
敷地上に高圧線が通っている場合には、全部事項証明書の乙区に地役権が設定されている場合とされていない場合があるので注意が必要。
現地調査において高圧線が通っていることを確認したときは、周辺の鉄塔の番号や連絡先を控えておく(電力会社に問い合わせることにより、使用電圧ボルトや、建築制限の確認をすることが可能)。
現地調査により対象地の前面道路が4メートル未満であった場合には、セットバックによる評価減の可能性があるため、役所調査がかならず必要になる。
地積測量図が存在しない宅地の場合には、現況の間口、奥行等の実測と公図、登記簿、住宅地図との差異がないことをかならず確認し、差異があった場合には現況に基づき評価する。

 

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