目次 II−4−(2)


(2) 小切手

 小切手は、小切手を振り出した者(振出人)が自身の取引銀行に当座預金口座を開設し、その口座から支払いをしてもらうよう依頼するものです。小切手を受け取った者(所持人)は、自身の取引銀行か支払銀行にその小切手を呈示することによって支払いを受けることができます。

 小切手に記載すべき事項は次のとおりです。

小切手である旨
一定の金額を支払うという約束
支払いをする者(支払人)の名称
支払場所(支払銀行)
小切手を振り出した日とその場所
小切手を振り出した者(振出人)の署名

 これらの記載するべき事項が記載されていない小切手は、次の場合を除いて、無効となります。

支払地について特別の表示がないもの
  支払人に附記された住所を支払地と定めたものとみなされます。
  支払人に附記された住所の記載もない場合は、振出地を支払地として定めたものとみなされます。
振出地の記載のないもの
  振出人の名称に附記されている場所で、振り出したものとみなされます。

 実務では、必ず記載しなければならない事項が記載されていない状態で小切手が振り出され、流通しているものがあります。これを白地小切手といいます。白地小切手は、振出人と受取人の合意の上で、受取人が白地部分の記載を補充します。補充された記載内容が振出人の意思に反する場合であっても、事情を知らない第三者の手に渡った場合には、その記載事項が無効であることを振出人はその第三者に主張することができません。振出人がその第三者から支払呈示を受けた場合は、その小切手に基づき支払いをする必要があります。

 小切手の所持人は、手形の振出日から10日以内に支払銀行に支払いを受けるために呈示しなければなりません。また、小切手の所持人の取引銀行に取立てを依頼し、取引銀行から手形交換所へ呈示することにより、支払銀行に呈示したことと同じ効力を有することになることから、実務では小切手の所持人が取引銀行に小切手を持ち込む方法で支払いを受けます。

 小切手に2本の平行線を引いたものを線引小切手といいます。これは、小切手を取得できる者の資格を制限し、不正な所持人への支払いを防止するためのものです。

 線引小切手には、次の2種類があります。

一般線引小切手
   小切手の表面に引かれた2本線の中に、「銀行渡り」や「BANK」という文字が記載されているもの(小切手法37条3項)。支払銀行は、銀行か支払銀行の取引先にしか支払うことができません。
特定線引小切手
   小切手の表面に引かれた2本線の中に、具体的な銀行名が記載されているもの。支払い銀行は、その指定された銀行にしか支払うことができません。

 

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