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(3) 不動産登記簿の見方

 不動産の登記簿には、土地登記簿と建物登記簿があります。登記簿は、一筆の土地又は一個の建物ごとに作成されています。1つの登記簿は、表題部と権利部に分かれており、権利部は、更に所有権に関する権利を表示する甲区と、所有権以外の権利を表示する乙区に分かれています。


[1] 表題部

 表題部には、不動産登記法の規定によって、登記すべき事項のうち、不動産の表示に関する登記事項が記載されています。

 i 土地登記簿

 土地登記簿の表題部には、次の事項が記載されます。

土地を所在する市、区、郡、町、村及び字
地番
地目(土地の用途方法)
地積(土地の面積)

 地番とは、土地の位置を特定するために土地一筆ごとにつけられる番号のことをいいます。法務局には、公図(地図)が備えられており、その公図からその土地の位置を確認することができます。

 地番は、住所(住居表示)と異なる場合が多く、住所から地番を特定するには、法務局に備え置かれている「ブルーマップ」で確認する必要があります。ブルーマップとは、住所と地番の双方が記載されている地図ですので、住所からブルーマップにおける場所を特定し、その場所に青字で記載されている地番を確認します。

 ii 建物登記簿

 建物登記簿の表題部には、次の事項が記載されます。

建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、その建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
家屋番号
建物の種類、構造及び床面積
建物の名称があるときは、その名称
附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番並びに種類、構造及び床面積
建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨
建物又は附属建物が区分建物であるときは、その建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積
建物又は附属建物が区分建物である場合であって、その建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
建物又は附属建物が区分建物である場合に、その区分建物に関する敷地利用権であって、区分所有法22条1項の規定により区分所有者が有する占有部分と分離して処分することができない敷地権があるときは、その敷地権

 家屋番号とは、建物を特定するために1個の建物ごとにつけられる番号のことをいいます。区分建物とは、1棟の建物に構造上区分された数個の部分が独立して住居や、店舗、事務所等の用途に利用されている建物のことをいい、いわゆるマンションのことをいいます。

 マンションは、1室毎に個別の家屋番号が付けられています。マンションの底地の利用権(敷地権)は、そのマンションに居住する数人で共有し、その敷地権については、建物と分離して処分することができません。そこで、区分建物(マンション)の登記簿には、敷地権に関する事項についても記載されることになっています。敷地権は、所有権である場合や、土地の賃借権や地上権である場合もあります。マンション一室の所有者は、その所有権や賃借権等の敷地権を区分建物全体における自己が所有する区分建物の割合の持分を有しています。その有する持分割合については登記簿に記載されます。


[2] 権利部

 i  甲区

 権利部のうち、所有権に関する事項が記載される甲区には、次のような事項が記載されます。

所有権の保存
所有権の移転
所有権の変更(所有者の住所変更等)
所有権の消滅
所有権に関する差押、仮差押
所有権に関する仮処分等の処分制限に関する事項

 ii 乙区

 権利部のうち、所有権以外の権利に関する事項が記載される乙区には、次のような事項が記載されます。

地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、採石権に関する権利の設定、保存、移転、変更、消滅及び処分制限に関する事項

 乙区に記載されるもので、よく見られるのは、抵当権や根抵当権に関する登記です。これらは、その不動産を担保に融資を受けた際に設定する権利であり、これらの登記が乙区に有効に記載されている場合は、その不動産が担保に入っていることを意味します。

 iii 登記の優劣

 不動産に関する権利を第三者に対抗するためには、登記をしなければならないことは先に述べましたが、登記がなされたもの同士の権利の優先順位は、その登記がなされた順位によって決せられます。

 たとえば、甲区欄に、2番に差押登記、3番に所有権移転登記がなされた場合には、先になされた差押の権利が優先することになります。また、乙区欄に、1番と2番でなされた抵当権設定登記がある場合は、1番で登記された抵当権の権利が優先します。次に、甲区と乙区になされたそれぞれの権利の優劣は、受付番号の若い方が優先します。

 

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