目次 I−2−(3)


(3) 登記の効力

 一般に、商業登記には、次の[1]〜[4]の効力があるといわれています。


[1] 公示力

 「公示力」とは、商業登記をすることにより、第三者に知らせることができる効力のことをいいます。


[2] 対抗力

 登記すべき事項については、登記した後でなければ、そのことを知らなかった第三者にその事項を対抗することができません。この効力を、「対抗力」といいます。ただし、登記した後であったとしても、その者がその事項について知らないことについて、正当な理由がある場合は、その事項について対抗することができないものとされています。


[3] 公信力

 虚偽の事項を登記をした場合に、その登記した事実が虚偽であることをもって、そのことが虚偽であることを知らなかったものには対抗することができません。この効力を「公信力」といいます。たとえば、実際に、代表取締役でない者を代表取締役として登記した場合に、その登記されている者をその会社の代表取締役と信頼して取引をした第三者は保護されることになり、虚偽の登記をした会社側は、その取引が無効であると主張することはできません。


[4] 形成力

 また、会社の設立登記のように登記申請しなければ効力を発生しない場合もあり、このような効力を「形成力」といいます。


●会社で登記すべき事項●

(1) 本店所在地で登記すべき事項(会社法第911条3項)

 [ 1 ] 目的
 [ 2 ] 商号
 [ 3 ] 本店及び支店の所在場所
 [ 4 ] 株式会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定め
 [ 5 ] 資本金の額
 [ 6 ] 発行可能株式総数
 [ 7 ] 発行する株式の内容
 [ 8 ] 単元株式数について定款の定めがあるときは、その単元株式数
 [ 9 ] 発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数
 [10] 株券発行会社であるときは、その旨
 [11] 株主名簿管理人を置いたときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
 [12] 新株予約権に関する事項
 [13] 取締役の氏名
 [14] 代表取締役の氏名及び住所
 [15] 機関設計(取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、一時会計監査人、特別取締役、三委員会)
 [16] 定款の定めによる責任免除
 [17] 責任限定契約
 [18] 電磁的方法による貸借対照表の公示
 [19] 公告方法
  (※) これらの事項に変更があった場合は、その変更があった日から2週間以内にその変更事項に関して登記申請をする必要があります。


(2) 支店所在地で登記すべき事項(会社法第930条2項)

 [ 1 ] 商号
 [ 2 ] 本店の所在場所
 [ 3 ] 支店の所在場所

 

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