目次 I−2−(1)


2 商業登記の基礎知識


(1) 概説

 「商業登記」とは、会社や個人商店に関する一定の事項を登記簿に記載し、公開することによって、取引の安全等に寄与することを目的とした制度です。会社と取引をしようとする際、相手方がどのような企業であるのかを商業登記簿を閲覧することによって、調査することが可能になります。商業登記簿には、株式会社登記簿、合同会社登記簿、合資会社登記簿、合名会社登記簿、外国会社登記簿、商号登記簿などの種類があります。本章では、株式会社登記簿を中心に説明していくことにします。

 株式会社は、本店所在地によって設立の登記をすることによって成立します。登記しなければ、会社としての人格(法人格)が認められません。このように、会社にとって、登記は非常に重要な意味を有しており、その登記に公示される事項も、その会社の人格(法人格)を外部に表示する唯一のものであることから、登記制度自体が信頼あるものである必要があります。登記制度自体が信頼あるものとなるよう商業登記法という法律でその登記手続きを定めています。商業登記法に定められている方法で、登記申請しなければ、登記をすることはできません。商業登記法は、商業登記簿が信頼あるものとなるよう手続き面を担保している法律です。

 商業登記は、本店所在地を管轄する法務局で事務を行います。法務局は、全国に8カ所の法務局と42カ所の地方法務局があります。それらの法務局の中に、それぞれ出張所が設置されています。その会社を管轄する法務局に関しては、規則で定められています。

 

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