目次 I-3


3 消費税の手続き

法人は期末から
2か月以内に
申告と納税
爽香  先生、消費税っていつ納めるんですか?

先生  法人と個人で違うけど、まず法人の場合は、決算期末から2か月以内に申告して納税も行う。

一郎  法人税と同じ時期ですね。

先生  まあそうだね。でもひとつ違うのは、法人税の申告には1か月延長の特例があるけど、消費税にはない。

一郎  あ、そうか。

爽香  なあに、それ?

一郎  届出をすれば、法人税は3か月後に申告してもいいことになってる。

先生  その場合でも消費税は、あくまでその1か月前に申告しなきゃならないんだよ。

爽香  ふーん、そうなんですか。


個人は
3月末が期限
先生  それから個人の場合は、毎年3月31日が申告と納税の期限になってるね。

爽香  3月15日じゃないんですか?

先生  所得税はそうだね。でも消費税は3月末――もちろん、所得税の申告書と一緒に3月15日までに提出してもかまわないよ。

一郎  先生、どうして3月末なんですか?

先生  消費税を導入する時、新しい税金だから気を利かして、所得税より15日だけ遅くしたんだよ。でも実務的には、かえってややこしいね。


所得税と
同時申告が一般的
一郎  うちの事務所のお客さんはみんな、所得税と一緒に申告してますね。

先生  所得税の申告をする時点で消費税も計算できてるんだから、その申告書だけ後で提出だなんてわずらわしいからね。たいていの人は一緒に出してるんじゃないかな。

爽香  先生、すみませんでした……。

先生  ん? どうしたの?

爽香  この間、申告書郵送するとき宛名書き、まちがえちゃって。

先生  ああ、“税務所”か。正しくは“税務署”だよね。

一郎  難田さんがびっくりしてたよ。ほんとに会計事務所の職員なのかって……なんだかんだ言ってたなあ。

爽香  ……。


各種の届出制度 先生  ま、それはそうと――伊呂波くん、消費税では申告以外にも、いろいろ届出の制度があるね。

一郎  ええと、課税事業者の届出、簡易課税の届出、課税期間短縮の届出……とかいろいろありますね。

先生  詳しくはまた後で勉強するけど、消費税にはいろんな特例があってね――その特例を受けるには、しかるべき時期までに、しかるべき届出をしなければならないんだよ。

一郎  ややこしいんですよね、これがまた。

先生  あまり、ややこしい、ややこしいと言ってると、爽香くんがやる気なくすけど……たしかにこの届出に関しては、出すべき時期に出し忘れて特例が受けられず、節税できなかったというケースが多々あるね。まあ、後でじっくり勉強しよう。

 

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