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2 登記 |
(1)概要 不動産を信託の目的として、受託者に信託した場合、委託者から受託者への信託を原因とする所有権移転登記と同時に、目的とされた不動産が信託財産である旨の信託の登記を行います(不登法98)。 信託によって、委託者から受託者へ不動産の所有権は移転しますが受託者固有の財産ではないため、債権者などの利害関係者にも判断がつくようにする趣旨です。 不動産に関する信託の登記の規律は不動産登記法の第97条から第104条の2においてなされています。また通達として「信託法等の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)」(平成19年9月28日付法務省民二第2048号)」が発出されています。 この通達は、登記簿の記載例が掲載されるなど信託の登記の理解をする上で役立ちます。 (2)共同申請 不動産を信託の目的にした場合は、委託者(所有者)と受託者の共同申請によって、所有権移転の登記を行うのと同時に、その所有権の移転が信託である旨の信託の登記をします(不登法60、98)。 受託者が信託財産である金銭をもって不動産を購入した場合は、所有権の移転を受けるのと同時に、受託者が単独で信託の登記をします。 委託者が単独で行う自己信託(信託宣言)の場合も委託者が単独で信託の登記を行います(不登法98)。 (3)登記事項 信託の登記の登記事項は、次の「■信託の登記事項一覧」のとおりです。これらの事項は、信託目録に記載され、信託に関する多くの情報が不動産の登記事項証明書とともに、誰でも取得可能な情報として、一般に公示されます。 受益者の氏名または名称及び住所については、信託管理人や受益者代理人を選任し登記したときは、登記を省略することができます(不登法97)。受益者が多数存在する場合や、受益者の情報をあまり積極的に公示したくない場合に利用することが考えられます。 また信託目録中の「信託条項」の欄には信託契約のうちから、重要な事項を司法書士が抽出して記載することになります。受益者が分配を受ける金銭の額や割合を記載しなければならないというわけではありませんので、公示に馴染まないと判断する事項については事前に司法書士に要望を伝えておくといいでしょう。 ■信託の登記事項一覧
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