目次 III-1


III.寄附金


1 寄附金の損金不算入制度の概要

 法人が支出した寄附金については、その法人の各事業年度の所得の金額の計算上、次の通り規定されています。


(1)利益処分経理をしたとき

 法人が支出した寄附金の額につき、利益処分による経理をしたときは、次に掲げる寄附金の額を除き、その経理した金額は損金の額に算入されません。

 (A) 国または地方公共団体に対する寄附金の額
 (B) 民法第34条の規定により設立された法人その他公益事業を行う法人または団体に対する寄附金のうち、一定の要件に該当するものとして財務大臣が指定した寄附金の額(指定寄附金の額)
 (C) 特定公益増進法人に対する寄附金の額及び認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)に対する特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金の額


(2)(1)以外の場合

 法人が支出した寄附金の額((1)により損金不算入とされたものを除く)の合計額のうち、一定の損金算入限度額を超える部分の金額は損金の額に算入されません。

 なお、次の寄附金の額については、上記損金不算入額の計算の基礎となる寄附金の額の合計額に含めないで、その支出の時の損金の額に算入します。

 (A) 国または地方公共団体に対する寄附金の額
 (B) 指定寄附金の額
 (C) 公益法人等又は認定NPO法人以外の法人が支出した特定公益増進法人に対する寄附金の額及び認定NPO法人に対する特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金の額(その合計額が損金算入限度額相当額を超える場合のその超える部分の額を除く)

 なお、法人が各事業年度において支出した寄附金の額(利益処分による経理をしたものを除く)のうちその法人の国外関連者に対するもの(国内に恒久的施設を有する外国法人である国外関連者に対する寄附金の額で、その国外関連者の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入されるものを除く)は、その全額が損金の額に算入されません。

 以上を要するに、寄附金については、まず、利益処分経理による場合は、国等に対する寄附金等一定のものを除き、損金の額には算入されません。次に、利益処分経理以外の場合には、やはり国等に対する寄附金等一定のものを除き、損金に算入される限度額が設けられています。また、国外関連者に対する寄附金については、その経理処理のいかんを問わず、損金の額に算入されません。

 

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