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第2章 経営改革の必然性 |
第1章で述べたことの帰結は、今後の経営者はプロ化するであろうということである。 会計ビッグバンの時代においては、経営者は必然的にプロ化するということである。株式の相互持ち合いが解消して安定株主の存在が怪しくなるとき、経営者が経営者でい続けられるのは、経営者が株主・投資家が満足する経営実績をあげ、その結果、株価を上昇させ続けられるからである。財務諸表をごまかすことなく、真実の姿で企業を成長させることができるプロの経営者にしか、長期にわたる経営者は務まらない。 会計ビッグバンは、経営成果を出すことを経営者に強く要求する。「長期的見地」は経営成果を出すことができない経営者の言い訳にしか過ぎなくなる。1期ごとの経営成果の積み重ねが5年、10年、15年の経営成果の集積となると考えないわけにはいかない。経営者は実に厳しい評価を受けることになる。 GE(ゼネラル・エレクトリック)のジャック・ウェルチ会長は、1981年から2000年に至るまでGEの最高経営責任者を務めていた。その間、GEはほぼ一貫して大きく成長している。 ジャック・ウェルチ会長がこれだけの実績をあげたのは、同会長自身が経営改革の旗手であり続けたためである。彼が行った経営改革の主要なものは次のとおりである。
GEのジャック・ウェルチ会長の例からも明らかなように、経営者が経営者としてプロであるためには、経営者自身が経営改革の旗手とならなければならない。特に、日本企業はグローバルな競争において勝ち組に入っているとはいいがたいから、勝ち組になるように経営改革を大胆にしなければならないため、なおさら経営者には改革型の人材が必要となろう。 1980年代に日本企業が、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の言葉に踊らされて優秀なものから学ぶという日本企業のお家芸を忘れ、傲慢な関東軍になってしまったことが日本の今日の閉塞感をもたらした原因と反省すべきであろう。しかし、GE成長の本質がわかれば将来に不安を持つ必要はないことが理解できる。日本企業の経営者が日本企業の原点に立ち帰って日本をも含む世界を広く見聞し、その中から優れたものを発見し、それを自社に採り入れて経営改革を徹底し、それを自社の社風・文化にすればよいのである。キャッチアップの時代は終わったというのも傲慢さの現れである。いつの時代でも進歩がある以上、その進歩から常に学ばなければならないのであるから、進歩・発展を求めるものは、積極的にキャッチアップの態度を堅持しなければならない。その意味では永続すべき企業にとっては、いつの時代でも常にキャッチアップが不可欠である。経営者が経営改革の旗手であるというのは、経営者はキャッチアップから始めるということになるのかもしれない。経営改革という言葉に踊らされてはならない。 |