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13.株主のみなし配当課税

 株式の譲渡損益の額は、法人税法上の適格・非適格に関係なく、交付金銭等が支払われるかどうかによって課税関係が変わるのに対し、みなし配当に関しては、法人税法上の適格再編成かどうかによって課税関係が変わってきます。

 分割法人及び被合併法人の利益を原資とする部分(利益積立金)が分割承継法人及び合併法人の資本及び資本積立金に組み入れられる場合、法人税法では、その資本組入部分(資本金+資本積立金)をいったん株主に配当として分配し、その分配部分を再び株主から出資を受けたとみなします。みなし配当課税は、株主への配当とみなされる部分(みなし配当)について株主に対し課税するというものです。

 適格分割型分割及び適格合併については、移転する資産が帳簿価額により引き継がれ、利益積立金についても分割承継法人及び合併法人に引き継がれることになりますから、株主に対して配当があるとみなされる部分はないので課税問題は発生しません。

 しかし、非適格の組織再編成における分割型分割及び合併については、前述のように、利益積立金を引き継ぐことができず、資本金に組み入れられなかった承継純資産は資本積立金としなければならないので、株主にみなし配当の課税問題が発生します。

 ただし、みなし配当への課税については、経過措置規定として、当初1年間の組織再編成では凍結されています。これは、企業組織再編税制の導入に伴い、適格組織再編成として税務申告を行ったものの、その後の状況の変化等により、税法上、非適格組織再編成と認定されてしまった場合、法人税における修正は当然必要になるが、その株主にまで配当所得に対する修正申告を行うことを要請することは困難であるからと解されます。

 したがって、企業組織再編税制が定着するまでの期間を1年間と限定し、この期間については、税制の適用の誤りによって非適格組織再編成の認定を受けた当該法人の株主に対する救済措置として、みなし配当に対する課税は行わないとされました。

 

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