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2.企業組織再編税制の整備の必要性

 企業が組織を変革し、新しい時代に生き残りをかけていくためには、二つの方向性が考えられます。一つは、資本関係で結ばれたグループ企業全体を円滑に運営していく方向です。いわゆる持株会社組織の中での事業を再構築し、機動的に経営改革を進めていく場合などです。もう一つは、従来の資本関係の枠を越え、より大きな競争単位として複数の企業が共同で事業を進めていく方向です。ライバル会社同士が合併したり、新しいビジネスを展開するために異業種の分野を取り込み事業統合したりする場合などです。

 このように、組織変革の二つの方向性として、前者は「企業グループ内の組織再編成」として、後者は「共同事業を行うための組織再編成」として捉らえることができます。また、この方向性は、企業が行う組織再編成の段階の中で、複合的に組み合わされていくこともあります。第一段階として「共同事業」を行うことにより、複数の当事会社の各事業部門を統合し、最終的に持株会社を作って「企業グループ」化する場合もありますし、また、先に持株会社を作り「企業グループ」化した上で、各当事会社の事業を再編・統合していく場合もあります。

 企業組織再編成の法制度が整備されたことにより、合併・会社分割・現物出資など様々な手法を駆使して組織再編成を行うことができる環境になりました。複雑多岐にわたる組織再編成の手法を、税法が個別に手当てしていては、必ずや矛盾が生じ、租税回避行為を助長することにもなりかねません。そこで、従来の組織再編成の税法を全面的に見直し、一貫した税制の整備が行われるに至りました。

 

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