目次 I-1


1 消費貸借とは

 消費貸借は、当事者の一方が、種類、品質および数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって効力を生じる契約です(民法587条)。借主は、貸主から借りた物の所有権を取得してこれを消費し、代わりに、同種、同品質、同量の物を貸主に返還します。

 消費貸借の目的物は金銭が一般的ですが、米等金銭以外の物でも目的物になりえます。

 消費貸借の成立には、借主が貸主から目的物を受け取ることを要するので(要物契約)、契約成立後には、貸主には貸す債務というものはすでになく、借主だけが返還債務を負うという点で片務契約です。

 民法上の消費貸借は無償が原則で、当事者が利息の合意をしない限り無利息とされていますが(無償契約)、実際には、ほとんどの場合利息つき(有償契約)です。

 なお、商人間の消費貸借については、貸主は法定利息(年6分)を請求できるものとされています(商法513条1項)。

 

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