目次 IV−3


3 居住用不動産の売却

 納税者が主たる居住用不動産を売却した場合、一定の条件を満たせば日本と同様に、選択によりその売却益に対して最高$250,000(夫婦合算申告$500,000)の特別控除を受けることができます。特別控除後の超過部分は、長期キャピタルゲインとして15%の税率が適用されます。ただし、居住資産の売却により損が生じた場合、パーソナルロスとなりますのでその他の所得と相殺することはできず、切捨てになります。


1.特別控除を受けるための条件

 特別控除を受ける場合の主な条件は、以下の通りです。

 (1) 対象となる資産が主たる居住用不動産であること。土地のみの売却は対象になりません。

 (2) 所有権テスト(Ownership test)売却前5年の内に少なくとも2年間はその居住用不動産を所有していたこと。

 (3) 使用テスト(Use test)売却前5年の内に少なくとも2年間は主たる居住の用に供していたこと。

 (4) 売却日前、過去2年間にこの特別控除を受けていないこと。

 また、夫婦合算申告の場合、以下のすべての条件を満たした場合は最高$500,000の特別控除を受けることができます。

 (1) 夫婦のどちらかが所有権テストの条件を満たしていること。

 (2) 夫婦の両方が使用テストの条件を満たしていること。

 (3) 夫婦のどちらも、売却日前、過去2年間にこの特別控除を受けていないこと。

 なお、その主たる居住用不動産を数人(例:家族)で所有している場合、前述の条件を満たせばその各人が、特別控除を受けることができます。


2.所有テストおよび使用テストの期間 Schedule D

 売却前5年間の内の2年間の期間計算については、継続している必要はありません。5年間の内、全24ヶ月又は730日(365日×2)で2年間の条件を満たすことができます。また、短期バケーションで家を留守にする期間は、居住の用に供していたと取扱われます。

 居住期間が2年間未満で、移転理由が転勤、健康問題、又は、予期できない収用や災害等の一定の条件を満たせば、$250,000(夫婦合算申告$500,000)に居住日数の割合(居住日数÷(365日×2))を掛けた金額までその特別控除を受けることができます。

 転職等のために居住用不動産を売却し、雇用主からなんらかの損失や譲渡経費の補填があった場合、その補填は給与として取扱われます。

 一般的に、特別控除を選択しない、又は、特別控除を超える売却益がある場合、「キャピタル損益計算書」Schedule D〈Capital Gains and Losses〉を申告書に添付します。

 

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