目次 IV−2


2 子供の税金

 米国では、扶養親族でも一定の条件に該当する場合、個人所得税申告の提出が必要です。ここでは、子供の税金について説明します。


1.扶養親族の申告要件

 扶養控除の対象とされている子供が、以下のいずれかに該当する場合、個人所得税申告書を提出する必要があります。そして、子供に申告をさせることは、親の義務になります。

 (1) 投資所得(利息、配当、賃貸等)が$900(2008年度)超である場合

 (2) 勤労所得(給料等)が$5,350(2008年度)超である場合

 (3) 調整後総所得金額(AGI)が$900、又は、勤労所得($5,150上限)に$300を加算した金額のいずれか大きい額を超えた場合


2.扶養親族としての子供の税額計算 Form1040

 扶養親族として子供が申告をする場合の計算は、以下の通りです。

 (1) 申告書は、「米国個人所得税申告書」Form1040を使用します。

 (2) 通常の申告の所得計算と異なり、子供自身の人的控除をとれません。また、所得控除で標準控除を選択する場合、$900(2008年度)、又は、勤労所得プラス$300(通常の所得控除額が限度額)のいずれか多い金額が標準控除となります。ただし、既婚の扶養者で一方の配偶者が個別控除を選択している場合等、状況により標準控除をとることができない場合があります。


3.子供の所得を合算する場合の親の選択 Form8814

 子供に申告義務があり、以下の要件のすべてに該当する場合には、親(夫婦別申告は高額所得の親のみ)の所得として子供の投資所得を申告することができます。選択する場合、「子供の投資所得を申告するための親の申請書」Form8814〈Parent's Election To Report Child's Interest and Dividends〉を親の申告書に添付します。

 (1) その子供がその年度末日で18歳未満であること。

 (2) 子供が所得税申告をする条件に該当すること。

 (3) 子供の所得が受取利息、配当、キャピタル・ゲインの分配のみで、その所得合計額が$8,500未満であること。

 (4) 既婚の子供は、夫婦合算申告を選択しないこと。

 (5) 子供が予定納税の納付、又は、前年還付をその年の税金に充当していないこと。

 (6) 子供の所得に対してバックアップ源泉徴収がされていないこと。

 (7) 親が夫婦別申告等の場合、適正な親の申告上で合算されること。

 なお、親が子供の投資所得を合算することを選択した場合の影響で、主なものは以下の通りです。

 (1) 子供の所得も高い親の税率で課税されることがあります。

 (2) 子供が控除できたであろう控除で親の申告ではとれないものがあります。

 (3) 予定納税の不足になるかもしれません。


4.子供の税金の計算 Form8615

 その年度末日に18歳未満で投資所得が$1,800超の子供が、所得税申告を行う場合、$1,800を超過する投資部分は両親の税率が適用されます。

 その場合の税額計算は、以下のように行われます。

 (1) 両親の課税所得金額(Taxable Income)および子供の超過投資所得金額を合計し、両親の申告ステイタスにより税額計算をします。

 (2) 次に両親の課税所得金額のみで税額計算をし、(1)の税額より控除して子供の税額を算出します。

 (3) 子供の課税所得金額より(1)で加算した超過投資額を控除して、子供の申告ステイタスで税額計算をします。

 (4) 一般的に(2)と(3)の合計税額が子供の税金となります。子供の課税所得で通常の計算をした税額が、上記の子供の税金を超える場合は高い方の金額になります。

 なお、子供が、2人以上該当する場合は按分計算により税額を振分けます。

 

目次 次ページ