目次 IV−1


IV.その他特別な場合


1 デュアル・ステイタスの所得税の計算

1.デュアル・ステイタス Dual-Status

 米国居住者から米国非居住者への変更、又は、米国非居住者から米国居住者への変更が行われた年は、1年間に米国居住者期間と米国非居住者期間があることになります。これはデュアル・ステイタスと呼ばれています。米国居住者期間は米国居住者としての課税が行われ、米国非居住者期間は米国非居住者としての課税が行われることになります。一般的に、デュアル・ステイタスとなるのは、駐在員の赴任年度および帰任年度です。


2.デュアル・ステイタスの申告 Form1040,1040NR

 年度末日が米国居住者である場合(例:駐在員の赴任者)は、「米国個人所得税申告書」Form1040で申告し「米国非居住者個人所得税申告書」Form1040NRをステイトメントとして添付します。そして、年度末日が米国非居住者である場合(例:駐在員の帰任者)はForm1040NRで申告し、Form1040をステイトメントとして添付します。

 デュアル・ステイタス申告書を作成する場合、以下の制限があります。

 (1) 標準所得控除(Standard deduction)の適用がありませんので、個別所得控除を適用することになります。

 (2) 夫婦合算申告を選択することはできません。

 (3) 独身世帯主申告での税額計算は適用できません。

 (4) 配偶者控除および扶養控除は、米国居住者期間の所得を限度としてとることができます。また、カナダ、メキシコ、および韓国の居住者は特別な取扱いがあります。

 (5) Earned Income Creditのような特定の税額控除の適用はありません。


3.税額計算

 米国居住期間の所得と米国非居住期間のUSIECの所得を合計し、人的および所得控除後の課税所得金額に税率を乗じて税額計算を行います。

 非居住者期間のFDAPの所得は、原則30%(租税条約の軽減税率あり)を乗じて計算します。

 

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