目次 III−3


3 USIEC所得の仕組み(米国非居住者)

 米国ビジネスに関連する所得金額(USIEC所得)は、一部を除き、米国居住者と同様の計算方法で課税されます。申告ステイタスを決定し、USIEC所得金額を計算し、所得調整項目を加減算し、所得控除、人的控除を差し引き、課税所得金額を決定します。その課税所得金額に、米国居住者と同様の税率を使用して税額を算出します。


1.申告ステイタス Filing Status

 米国非居住者が選択できる申告ステイタスは以下の通りで、夫婦合算申告を選択することはできません。既婚の方は夫婦別申告になりますので、一般的に独身者より税額が高くなります。また、既婚者の判定は、その年の12月31日の現況によります。

 ・夫婦別申告(Married Individuals Filing Separately)
   既婚者のための申告です。

 ・独身申告(Single)
   未婚者のための申告です。

 ・ 適格寡婦(夫)申告(Qualifying Widow(er)with dependent child)
 前年もしくは前々年に配偶者を亡くし、その年に再婚していない適格寡婦(夫)で子供を扶養する場合は、適格 寡婦(夫)申告を使用します。

 米国居住者と同様に、ステイタスの違いにより、税率のブラケット、高額所得者の取戻し、個別控除の制限額、高額所得者の人的控除の制限が異なります。これらの税率は、米国居住者と同じものを使用します。


2.総所得金額に対する調整額 Adjustment

 総所得金額での米国居住者と米国非居住者の主な違いは、一般的に米国非居住者は自営業税を納付する義務がないので1/2の控除がないということです。


3.所得控除 Deductions

 米国居住者と米国非居住者の大きな違いは、米国非居住者には標準控除の選択がありませんので、個別控除を適用することになる点です。米国非居住者は、以下の項目のみ控除が可能です。

 (1)税金控除
 (2)米国慈善事業に対する寄付金控除
 (3)災害盗難控除
 (4)雑控除

 なお、納税者が高額所得者の場合、米国居住者と同様の取扱いになります。


4.人的控除 Exemptions

 米国居住者と同様に、基礎控除、配偶者控除、および扶養控除に区分されます。人的控除の金額は1人$3,400(2007年度)です。この金額は、物価変動により毎年変更されます。また、高額所得者の人的控除の減額は米国居住者同様に適用されます。

 (1) 納税者
 納税者自身は1人分の人的控除をとることができます。

 (2) 配偶者
 Form1040NR Page1 Filing Status box 3 もしくは 4にチェックした場合、条件を満たせば配偶者控除をとることができます。

 (3) 扶養親族
 U.S. national、カナダ、メキシコ、および韓国の居住者は、条件を満たせば扶養控除をとることができます。


5.税額計算

 米国居住者と同様の税率表により計算されます。

 

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