目次 I−4


4 米国居住者期間の開始日と終了日

 米国税務上、米国居住者と米国非居住者とに区分されることを説明しました。次に、実際にそれぞれの期間がいつから始まり、また、いつ終わるのか簡単に説明します。

 課税される所得の範囲は、米国居住者期間は全世界課税、米国非居住者期間は米国源泉所得のみ課税となりますので、開始日と終了日を決定することは税額計算をする上で重要です。


1.米国居住者期間の開始日 Starting date

 前年が米国非居住者で、その年度より居住者(初年度居住者)となる場合、その米国居住者期間の開始日は、次のようになります。

 (1) その年に米国永住権を取得し、グリーンカード・テストのみ条件を満たしている場合
 米国永住権者として最初に米国に入国した日、又は、既に米国に滞在している者はその永住権の取得日。

 (2) その年に米国実質滞在テストのみ条件を満たしている場合
 その年の最初の米国入国日。
 ただし、米国入国日には、次の例外規定があります。

  10日までの除外 Exclude up to 10 days
これは、一般的に、赴任前の期間に、短期の出張がある場合に利用されます。
外国にタックス・ホーム(例:日本にビジネス本拠がある等)があり、かつ、米国よりもその外国と密接な関係(Closer connection)がある期間に、米国滞在日数がある場合、10日までの米国滞在日を除外して、米国居住者期間の開始日を決めることができます。この場合、申告書に必要事項を記載した書面の添付が必要です。終了日を決める場合も10日までの期間を除外することができます。
以下、この例外適用を受けられる場合の例です。

 (3) グリーンカード・テストおよび米国滞在テストの両方の条件を満たしている場合
 前述の(1)で決定された日と(2)で決定された日のいずれか早い日。

 (4) 米国居住者を選択した場合
 米国居住者を選択した場合、米国居住者期間の開始日は次の通りです。

 a.7701条(b)(4)による選択とした場合
   31日間の起算日。
 b.6013条(g)、6013条(h)による選択とした場合
   その年の1月1日。


2.米国居住者期間の終了日 Termination date

 原則として、米国居住者の条件を満たさなくなった年(例:帰任年度)の12月31日が、米国税務上の米国居住者期間の終了日です。

 ただし、12月31日の終了日には、次の例外規定があります。

 → その年の最後の米国出国日を居住者期間の終了日とする。
これは、一般的に、駐在員の帰任年度に適用されます。
この場合、その年の最後の米国出国日後の期間は、外国にタックス・ホームがあり、かつ、米国よりも外国と密接な関係(Closer connection)があること、および、その翌年には米国居住者とならないことを条件として、米国居住者期間の終了日を前倒しにすることができます。その年の個人所得税申告書にこの例外適用の旨の書類を添付します。

 

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