目次 I-1-2


§1 コーポレートガバナンスとは

2 会社の運営監督機構はどうあるべきか

 会社機構論とは、会社を効率的かつ健全に運営させるために、株式会社の基本的な運営システムはどうあるべきかという議論です。会社の機構は、会社の所有者である株主の期待に答えるべく企業利益を長期的に拡大し、企業価値向上を図ることが必要です。株式会社の基本的な運営システムのポイントは、経営の効率性、経営の健全性と経営の透明性の3つです。

(1)経営の効率性の追求

 経営の効率性の追求とは、一定の経営資源の投入から経営の成果つまり利益を長期的に極大化することです。長期的な利益の追求のためには、経営者は、会社の長期的な発展のために、経営戦略の立案とその戦略の実行を推進します。もし、経営者が株主の期待に応えられなければ、経営者は、当然のこととして解任されることになります。

(2)経営の健全性

 経営の健全性とは、違法行為なき利益追求を意味します。つまり、違法なことを行ってまで経営をしてはなりません。特に、顧客に対して行った不法行為は、企業の信用力を著しく低下させ、大きく売上が下落し、場合によれば企業の存続が危ぶまれるケースも想定されます。

(3)経営の透明性

 経営の透明性とは、利害関係者、特に株主に経営の方向性、戦略目標の実施状況等、利害関係者にとって意思決定に必要な情報が適時に開示されることを意味します。つまり、利害関係者から経営の内容が手に取るように理解できるガラス張りの経営のことです。ガラスの箱の中にいる経営者は、常に監視されている状況であり、そのなかで常に説明責任(アカウンタビリティ)を果たす必要があります。

 したがって、会社の運営監督機構は、経営の効率性、経営の健全性と経営の透明性の3要素を満たすよう設計することが必要です。

会社の運営監督機構のあるべき姿
会社の運営監督機構のあるべき姿

 

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