目次 13


13 PL法の必要性

 製造物責任法(PL法)は平成7年7月1日より施行されているが、どうして必要なのか。

 従来から、メーカーの製品に欠陥があって、製品利用者の生命、身体、財産が害されるような事故が発生した場合、メーカーは損害賠償責任を負わされていた。これは民法709条の不法行為にあたるからである。

 そして、この不法行為による損害賠償を実現するためには、メーカー側の故意または過失を被害者が立証しなければならない。たとえば、メーカーの従業員の不注意による製作ミスがあったというような、メーカー側の具体的な落ち度の立証が必要となる。しかし、実際の訴訟においてこれを立証することは極めて困難であった。これらの過失行為はメーカー内部で起こることであり、部外者である被害者がメーカーの内側をうかがい知ることなど、事実上、不可能といえるからである。

 そこでPL法では、被害者の立証の負担を軽減するため「過失」の立証の代わりに、「欠陥の存在」を立証すればよいとした。

 したがって、被害者が製品に欠陥があったことを立証すれば、メーカーは相当因果関係(この立証も必要である)の範囲内の損害を賠償する責任を負わされる。

 PL法で損害賠償責任を負う業種は、製造業、加工業、輸入業である。流通や販売業には原則として適用がない。

 またPL法は、製品それ自体が壊れたというような損害ではなく、その製品以外の物や人に損害が及んでいる、つまり「拡大損害が生じている場合」に適用される。製品自体の損害の賠償は、民法の契約責任や不法行為責任の適用があるからである。

 

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