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9 代金はいつどのように請求するか

 債権の請求をする際には、まず請求する債権が確実に存在することを証明できる資料を揃えておく。ついで継続取引なら過去にさかのぼって個別取引の一覧表を作成しておく。これらは債務者の信用に問題が生じた緊急時に限らず、通常の取引時においても継続して整理しておくべきである。

 請求は原則として請求書を交付して行う。請求書にするのは後日の証拠とするためである(時効中断、遅延損害金の発生、契約解除等)。請求により、期限の定めのない債務は請求時点から期限が到来し(民法412条3項)、債権の消滅時効が中断し(ただし、裁判外の請求の場合は、6か月内に裁判上の請求をしないと、中断しなかったことになる。筆者の勝手な造語であるが、仮中断と呼ぶ)、支払期限に支払いがなければ遅延損害金が発生する。利率の約定があればそれに従い、なければ商事利率6%である(民事は5%であるが、会社の取引であれば商事になる)。

 請求書の作成については担当者を複数にするのが望ましく、一定期間の売上が簡単確実に抽出できるようにし、番号は一連のものにし、値引き・返品の有無の確認および請求内容の単価表等との照合は確実に行い、請求書自体の発行時期について基準を設けておくべきである。

 たとえば、誤った請求書を発行すれば、通常の取引時でも会社の信用にかかわるし、緊急時であれば相手方の苦し紛れの言い訳に利用されることもあるからである。

 

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