目次 3


3 文書の原本とコピーの関係

1 原本とは

 原本とは、最初に確定的に思想を表現するものとして作成された文書をいう。捺印をした文書であれば朱肉の付いているもののことである。

 文書の持つ証明力は最強である。


2 謄本とは

 原本の内容を完全に写したものをいう。そのうち、公証権限を有する者(公証人、登記官等)が原本と同一である旨を記載した認証謄本が重要である。登記簿謄本や戸籍謄本がこれにあたる。

 したがって登記簿謄本は、登記部分は謄本であり、認証部分は原本である複合文書である。

 ちなみに認証謄本は私人が認証する場合もある。たとえば、株主総会議事録は本店に原本を備え置き、支店に代表取締役が認証した謄本を備えおくといった場合などである。


3 抄本とは

 原本の一部を、当該部分と原本全体との関係を明らかにして抜粋した謄本をいう。要は証明に必要な部分のみを抜粋した一部謄本のことである。戸籍抄本などがこれに該当する。


4 正本・副本とは

 原本に代えて原本と同じ効力を持たせるために、公証権限を有する者が法定の場合に作成する謄本の一種をいう。

 原本は1通しかないので、たとえば証拠として裁判所に提出する際に困ることになる。裁判所に提出すれば、相手方に交付できないのみならず、手元にさえ残らないことになる。そこで謄本を2通作成し、それを原本と照合したうえで、その後は謄本をもって原本と同様の効果(同一の証明力)を認めるという工夫が正本・副本の関係である。

 ちなみに単なる謄本では原本より証明力が落ちる。原本のコピーを繰り返すことにより、内容を痕跡が残らぬように改ざんすることも謄本の場合には可能だからである。

 

目次 次ページ