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2 印紙を貼る文書

 印紙税は、商取引などにおいて作成される契約書、領収証、約束手形などに課税される税金であり、契約内容や契約金額、領収金額、手形金額などにより印紙税額が定められている。


1 課税文書

 印紙税が課税されるのは課税文書に限られる。課税文書とは印紙を貼る必要のある文書のことであり、印紙税法別表第1(以下、課税物件表。)に掲げられている文書のうち、非課税文書に該当しない文書をいう。

 非課税文書とは、課税物件表に掲げられている文書中、次のいずれかに該当する文書をいう。


2 非課税文書

 ●課税物件表の非課税物件欄に規定する文書
 ●国、地方公共団体、特殊法人等が作成する文書 など


3 課税文書への該当性の判断

 課税文書への該当性の判断は、文書を全体として判断するのみならず、文書に記載されている個々の内容についても判断する。したがって、課税文書に該当しない金銭借入申込書であっても、その文書に保証人が記名捺印しているような場合は、第13号文書である債務の保証に関する契約書として課税対象となる。

 また該当性の判断は、文書の表題や形式的な記載文言によるのではなく、記載文言の実質的な意味内容によって判断する。すなわち、その判断は記載されている文言を基礎として、関係法律の規定、当事者間の明示黙示の了解、基本契約、慣習等を勘案して、総合的に判断することになる。


4 他の文書を引用している文書

 ある文書が他の文書を引用している場合は、引用文書の内容が記載されているものとして、その文書の内容を判断する。たとえば、「請負代金は基本契約書第○条の定めにより金額を決定する」などである。

 なお、契約期間は、その文書に記載されている期間のみに基づいて判断する。


5 文書の通数

 印紙税は、文書ごとに1通または1冊を単位として課税される。1通の文書中に課税物件表の複数の号にまたがる内容が記載されている文書は、そのうちのいずれか1つの号の文書として課税される。

 しかし1冊の文書であっても、その記載証明される部分の作成日が異なる場合は、後から作成される部分については新たな課税文書を作成したものとされる。


6 契約書の写し、副本、謄本等

 契約書とは、契約の成立、変更、補充等の事実を証明する文書である。念書などのように当事者の一方が作成するものも含む。また、当事者の全部または一部の署名を欠くような場合でも、当事者間の了解や商慣習により、契約の成立を証明するものも含む。

 1個の契約について複数の契約書が作成される場合は、各契約書が課税文書とされる。

 契約書の単なるコピーは課税文書ではないが、コピーに当事者の署名や押印があったり、原本と相違ないことの証明があったり、写し・副本・謄本であることの証明のあるものは、課税文書である契約書に該当するので注意が必要である。

 申込書や発注書は原則として契約書にならないが、その申込書や発注書により自動的に契約が成立することを基本契約などで規定していれば、申込書や発注書も契約書になる。

 また、申込書等に契約当事者双方の署名または捺印があれば、やはり契約書とされる。


7 契約当事者以外の者に提出する文書

 たとえば銀行や監督官庁など、契約当事者以外の者に提出する文書は、契約書に提出先が書いてあるものや、内容からして当事者以外に提出することが明らかなものは課税文書ではない。


8 同一法人内で作成する文書

 内部の取扱者間、本支店間など、同一法人内で事務整理のために作成される文書は、課税事項を証明するために作成された文書に該当しないことから課税文書ではない。

 

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