第二編　〔三〕　一

〔三〕　確定申告書の作成要領

一　第一次作業（別表四の所得金額仮計の記入まで） 　ここではまず別表四に、別表四以外の明細書に関係のない申告調整事項を記入し（下記１）、次に、この作業に関連する各申告明細書を五つに分類して、（Ａ）租税公課、納税充当金関係（当期納付分）、（Ｂ）特別控除、圧縮記帳関係、（Ｃ）その他損金、益金算入関係、（Ｄ）減価償却関係、（Ｅ）引当金、準備金関係の順序で別表四における申告調整事項の記入まで（下記２）を行います。 １　当期損益及び別表四以外の明細書に関係のない申告調整事項 作業内容 記入上の注意事項と例示 （１） 　当期利益又は当期欠損の額の記入 損益計算書及び剰余金処分により別表四に記入 （２） 　別表四以外の明細書に関係のない加算事項 申告調整事項を別表四〜に記入 ・売上高の計上洩れ ・未払寄附金の否認額 ・前期認容額の当期否認額 ・ 前期までに剰余金処分で積み立てた圧縮記帳積立金又は租税特別措置法に定める準備金の損益計算書未処分損益の欄又は剰余金処分による取崩額 ・当期利益から控除した法人税等調整額 ・税効果会計による将来減算一時差異 ・税効果会計による将来加算一時差異の解消 ・その他の加算項目 （３） 　別表四以外の明細書に関係のない減算事項 申告調整事項を別表四〜に記入 ・仮払寄附金の認容額 ・ 前期以前及び当期中間申告分の未納事業税額で未払計上していないものの認容額 ・前期否認額の当期認容額 ・ 剰余金処分で積み立てた圧縮記帳積立金又は租税特別措置法に定める準備金の認容額 ・当期利益に加算した法人税等調整額 ・税効果会計による将来加算一時差異 ・税効果会計による将来減算一時差異の解消 ・その他の減算項目 ２　別表による申告調整 　別表による申告調整の第一段階として、（Ａ）別表五（二）に、期首現在未納税額、当期中の納付税額等を記入し、租税公課及び納税充当金に関する事項について申告調整します。 　なお、減価償却関係の明細書は税法上の償却限度額を計算するものですから、（Ｄ）は１による税務否認金及び（Ｂ）の圧縮記帳によって影響を受けます。また、減価償却資産の取得価額に交際費等の額が含まれており、交際費の損金不算入額がある場合には、あん分計算を行い減価償却資産の取得価額をその額だけ減算することになり、これが減価償却費の計算に影響します。従ってまず１に関する申告調整と（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）に関する申告書の作成並びに申告調整を行い、これらとの関連に注意しながら（Ｄ）に関する明細書の作成と申告調整を行います。また、（Ｅ）に関する計算はすべて税務上の金額が基礎になりますので、１及び（Ａ）から（Ｄ）までの作業が終った後で、これらとの関連に注意しながら行います。 別表分類 別　　表　　種　　類 別表四の関連区分欄 （□数字）他表との関連 本書に 記載例の あるもの （Ａ） 　租税公課に関する事項及び同族会社等の判定 別表五（二） 租税公課の納付状況等に関する事項 〜 、、、 ○ 別表二 同族会社等の判定に関する事項 利益積立金額　別表五（一） 株主名簿等 ○ （Ｂ） 　特別控除、圧縮記帳関係 別表十（四） 商工組合等の留保所得の特別控除         〜 〜、         別表十（六） 収用換地等、特定事業の用地買収等の場合の特別控除 ○ 別表十（七） 社会保険診療報酬等の損金算入・造林のための植林費の損金算入等   別表十（十） 関西文化学術研究都市における文化学術研究交流施設の設置等を行う会社への出資に係る特別勘定の益金算入   別表十三（一） 国庫補助金、工事負担金等で取得した固定資産等の圧縮記帳   別表十三（二） 保険金等で取得した固定資産等の圧縮記帳 ○ 別表十三（三） 交換により取得した資産の圧縮記帳 ○ 別表十三（四） 収用換地等により取得した資産の圧縮記帳 ○ 別表十三（五） 特定の資産の買換えにより取得した資産の圧縮記帳 ○ 別表十三（六） 特定の交換分合により取得した土地等の圧縮記帳   別表十三（七） 大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等により取得した宅地の圧縮記帳   別表十三（八） 認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の圧縮記帳   別表十三（九） 承継業務の事業計画の施行区域内にある土地等の交換等の圧縮記帳   別表十三（十） 特定普通財産とその隣接する土地等の交換の圧縮記帳   別表十三（十一） 平成２１年及び平成２２年に先行取得をした土地等の圧縮記帳   別表十三（十二） 賦課金で取得した試験研究用資産の圧縮記帳   別表十三（十三） 転廃業助成金等で取得した固定資産等の圧縮記帳   （Ｃ） 　その他損金算入、益金算入 別表八（一） 受取配当等の益金不算入 ○ 別表八（二） 外国子会社から受ける剰余金の配当等の益金不算入   別表九（一） 契約者配当の益金算入   別表十（五） 商工組合等の社外流出による益金算入   別表十四（五） 特定資産譲渡等損失額の損金不算入   別表十四（五）付表 支配関係発生日における時価が帳簿価額を下回っていない資産等の計算     別表十四（六） リース譲渡に係る収益及び費用の益金及び損金算入     別表十四（七） 公益法人等が普通法人に移行する場合等の累積所得金額又は累積欠損金額の益金又は損金算入     別表十五 交際費等の損金不算入 ○ 別表十七（一） 国外支配株主等に係る負債の利子等の損金算入   別表十七（二） 特定外国子会社等の課税対象留保金額等の計算   別表十七（二）付表 特定外国子会社等の判定     別表十七（二の二） 特定外国子会社等の課税対象留保金額に係る控除対象外国法人税額等の損金算入 〜   別表十七（二の三） 特定外国子会社等に係る課税済間接配当等の額の計算   別表十七（三） 特定外国子会社等に係る課税対象金額等の計算     別表十七（三の二） 　　　〜（三の六） 特定外国子会社等に係る部分課税対象金額等の計算ほか     別表十七（四） 国外関連者に関する明細   （Ｄ） 　減価償却関係 別表十六（一） 旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却         、 圧縮記帳関係（別表十三）     〜 ○ 別表十六（二） 旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却 ○ 別表十六（三） 旧生産高比例法又は生産高比例法による減価償却資産の償却   別表十六（四） 旧国外リース期間定額法若しくは旧リース期間定額法又はリース期間定額法による償却   別表十六（五） 取替資産の償却   別表十六（六） 繰延資産の償却 ○ 別表十六（七） 少額減価償却資産の損金算入 ○ 別表十六（八） 一括償却資産の損金算入 ○ 別表十六（九） 特別償却準備金の損金算入 ○ 別表十六（十） 資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入 ○ （Ｅ） 　引当金・準備金関係 別表十（二）のＩ 探鉱準備金、海外探鉱準備金の計算 、〜   別表十一（一） 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の計算 〜 ○ 別表十一（一の二） 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の計算 ○ 別表十一（三） 退職給与引当金の益金算入 ○ 別表十二（一） 　　　〜（二十） 海外投資等損失準備金等の計算ほか