目次 第二編 〔一〕


第二編 法人税申告書作成の基礎知識


〔一〕 所得金額の計算についての基本的考え方

 法人の各事業年度における所得の金額とは、その事業年度における益金の額から損金の額を控除した金額をいいますが、この益金の額、損金の額の具体的な内容は次のとおりであり、これらの金額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算することとされています。

所 得 金 額
益 金 の 額
 特に法令において定めている事項
上記1以外のもので、その事業年度に帰属する収益の額
  (1)  資産の販売
  (2)  有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供
  (3)  無償による資産の譲受け
  (4)  その他の収益の額で資本等取引以外のもの
損 金 の 額
 特に法令において定めている事項
上記1以外のもので、その事業年度における費用及び損失の額
  (1)  売上原価、完成工事原価等、収益に対応する原価の額
  (2)  販売費・一般管理費その他の費用(償却費を除き債務の確定しているもの
  (3)  その他の損失の額で資本等取引以外のもの

資本等取引とは、法人の資本金の額又は出資金の額の増加又は減少を生ずる取引及び法人が行う利益又は剰余金の分配による取引をいいます。利益又は剰余金の分配には、剰余金処分により配当等としたものだけでなく、実質的に株主等に対しその出資者たる地位に基づいて供与した一切の経済的利益が含まれます。

債務の確定しているものとは、別に定められている使用人賞与の損金算入、引当金、損害賠償金の場合を除き、次の要件のすべてが満たされている場合をいいます。
 イ  期末までにその費用について債務が成立していること
 ロ  期末までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
 ハ  期末までにその金額を合理的に算定することができるものであること

 

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