

前述したように、定率法の償却率は、従来、「1− 」という計算式で導かれていたのですが、平成19年度の税制改正において残存価額が廃止されたことによって、上記の算式が使えなくなり、平成19年4月1日以後に取得をする減価償却資産の償却限度額の計算に係る新しい定率法として「250%定率法」が導入されました。
すなわち、定率法の償却率は、定額法の償却率 を2.5倍した数とし、定率法により計算した減価償却費(調整前償却費)が一定の金額(償却保証額)を下回ることとなったときに、償却方法を定率法から定額法に切り替えて減価償却費を計算することとなりました。
ここでいう一定の金額を下回るとは、「定率法によって償却費を計算し、この償却費が、法定耐用年数から経過年数を控除した期間内にその時の帳簿価額を定額法で全額償却すると仮定して計算した償却費を下回るとき」をいいます。
| (1)定率法 → (2) 調整前償却額 < 償却保証額 → (3)定額法 |
なお、定率法の事業年度が1年に満たない場合の償却率(改定償却率も含みます。)についても、定率法の償却率が定額法の償却率の原則2.5倍とされたことから、従来の定額法と同様に、〔償却率×事業年度の月数/12〕に小数点以下3位未満の端数があるときは、その端数を切り上げることとなります(耐通5−1−1)。
また、定率法の償却保証額については、事業年度が1年に満たない場合でも月数按分をせずに計算し、改定償却率による償却へ切り替わることとなる「調整前償却額(年額)」との比較を行います。
具体的な償却方法は、次のとおりです。
| ■ 設例 |
法定耐用年数:10年
取得価額:100億円 |
|
| |
定率法の償却率=25% |
|
下記(1)<(2)より、8年目より「定額法」を採用
(1) 定率法償却率 → 3.3億円(13.3億円×25%)
(2) 定額法償却率 → 4.4億円(13.3億円/(10年−7年))
【13.3億円×0.334(改定償却率)】 |
■ 改正前後の比較
(1) 旧定率法による償却率=20.6%
(2) 定率法による償却率=25.0%
| |
改 正 前(1) |
改 正 後(2) |
経過
年数 |
当期末
残存簿価 |
当期に計上する
減価償却費 |
当期末
残存簿価 |
当期に計上する
減価償却費 |
| 1 |
79.4 |
20.6 |
75.0 |
25.0 |
| 2 |
63.0 |
16.4 |
56.3 |
18.8 |
| 3 |
50.1 |
13.0 |
42.2 |
14.1 |
| 4 |
39.7 |
10.3 |
31.6 |
10.5 |
| 5 |
31.6 |
8.2 |
23.7 |
7.9 |
| 6 |
25.1 |
6.5 |
17.8 |
5.9 |
| 7 |
19.9 |
5.2 |
13.3 |
4.4 |
| 8 |
15.8 |
4.1 |
8.9 |
4.4 |
| 9 |
12.5 |
3.3 |
4.4 |
4.4 |
| 10 |
10.0 |
2.6(注1) |
0.0 |
4.4 |
| 11 |
7.9 |
2.1 |
― |
― |
| 12 |
6.3 |
1.6 |
| 13 |
5.0 |
1.3(注2) |
| 14 |
5.0 |
0.0 |
| 15 |
5.0 |
0.0 |
| 16 |
0.0 |
5.0(注3) |
| |
合計 |
100 |
合計 |
100 |
| (注1) |
法定耐用年数10年経過時点における残存価額が取得価額の10%となります。

上記算式は、残存価額「10%」を前提としています。
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| (注2) |
償却可能限度額(5億円)に達した後は、償却できません。
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| (注3) |
設備を除却したときに、「除却損」として5億円を計上できます。 |
この改正によって、当初3年間で、減価償却費の損金算入額が、約8億円増加し、法人税等の実効税率が40%であれば、約3億円のキャッシュフローが増加することになりました。すなわち、減価償却費は、現金の支出を伴わずに、費用となりますから、利益を圧縮でき、それによって税負担が少なくなり、キャッシュフローが増加します。企業にとっては、その意味で、減価償却費の増額は好ましいといえます。
(効果)
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