中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)
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 II.各論

 11.引当金
(1) 以下に該当するものを引当金として、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として計上し、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載する。
・将来の特定の費用又は損失であること
・発生が当期以前の事象に起因すること
・発生の可能性が高いこと
・金額を合理的に見積ることができること
(2) 賞与引当金については、翌期に従業員に対して支給する賞与の見積額のうち、当期の負担に属する部分の金額を計上する。
(3) 退職給付引当金については、退職金規程や退職金等の支払いに関する合意があり、退職一時金制度を採用している場合において、当期末における退職給付に係る自己都合要支給額を基に計上する。
(4) 中小企業退職金共済、特定退職金共済、確定拠出年金等、将来の退職給付について拠出以後に追加的な負担が生じない制度を採用している場合においては、毎期の掛金を費用処理する。


【解説】

 引当金は、未払金等の確定した債務ではないものの、(1)の4つの要件を満たす場合には、財政状態を適正に表示するために、負債の計上(又は、資産からの控除)が必要であると考えられ、合理的に見積って計上することとなります。

 具体的には貸倒引当金(前掲「4.貸倒損失、貸倒引当金」参照)、賞与引当金、退職給付引当金、返品調整引当金等の引当金があります。

 なお、金額的に重要性が乏しいものについては、計上する必要はありません。


<賞与引当金>

 賞与引当金については、翌期に従業員に対して支給する賞与の支給額を見積り、当期の負担と考えられる金額を引当金として費用計上します。具体的には、決算日後に支払われる賞与の金額を見積り、当期に属する分を月割りで計算して計上する方法が考えられます。なお、下記の<参考>に記載している算式は、従来、法人税法で用いられていた算式であり、これも一つの方法として考えられます。


<退職給付引当金>

 従業員との間に退職金規程や退職金等の支払いに関する合意がある場合、企業は従業員に対して退職金に係る債務を負っているため、当期の負担と考えられる金額を退職給付引当金として計上します。

 (3)にあるように、「退職一時金制度」を採用している場合には、決算日時点で、従業員全員が自己都合によって退職した場合に必要となる退職金の総額を基礎として、例えば、その一定割合を退職給付引当金として計上する方法が考えられます。

 また、(4)にあるように、外部の機関に掛金を拠出し、将来に追加的な退職給付に係る負担が見込まれない制度を採用している場合には、毎期の掛金を費用として処理し、退職給付引当金は計上されません。


<参考>支給対象期間基準の算式
<参考>支給対象期間基準の算式


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