中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)
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 II.各論

 4.貸倒損失、貸倒引当金
(1) 倒産手続き等により債権が法的に消滅したときは、その金額を貸倒損失として計上する。
(2) 債務者の資産状況、支払能力等からみて回収不能な債権については、その回収不能額を貸倒損失として計上する。
(3) 債務者の資産状況、支払能力等からみて回収不能のおそれのある債権については、その回収不能見込額を貸倒引当金として計上する。


【解説】

 受取手形、売掛金、貸付金等の金銭債権については、決算時に、以下のように貸倒れの可能性について検討する必要があります。

 ○ 破産など、倒産手続き等により債権が法的に消滅した場合

 (1)にあるように、顧客や貸付先の倒産手続き等によって、又は債務の免除によって、債権が法的に消滅したときには、その消滅した金額を債権の計上額から直接減額するとともに、貸倒損失として費用に計上する必要があります。

 ○ 債務者の資産状況、支払能力等からみて債権が回収不能と見込まれる場合

 法的に債権が消滅していないものの、(2)にあるように、その債務者の資産状況や支払能力等からみて、回収不能と見込まれる債権は、その金額を債権の計上額から直接減額するとともに、貸倒損失として費用に計上する必要があります。これには、債務者が相当期間債務超過の状態にあり、弁済することができないことが明らかである場合等が考えられます。

 ○ 債務者の資産状況、支払能力等からみて債権が回収不能のおそれがある場合

 未だ回収不能な状況とはなっていないものの、債務者の資産状況や支払能力等からみて、回収不能のおそれがある債権については、(3)にあるように、回収不能と見込まれる金額で貸倒引当金を計上し、貸倒引当金繰入額を費用として計上します。

 なお、決算期末における貸倒引当金の計算方法としては、債権全体に対して法人税法上の中小法人に認められている法定繰入率で算定することが実務上考えられます。また、過去の貸倒実績率で引当金額を見積る方法等も考えられます。


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