7.特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入
 第36回 7−10 損金不算入額
掲載日:08/10/21

 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入の規定の適用により、損金不算入となる金額は、基本的に所得税法に規定する給与所得控除額(所得税法28条3項)の金額と同じです。


1)損金不算入額の計算

 具体的には、業務主宰役員給与額のうち、下記の表の左欄の給与額に応じ、右欄の金額が損金不算入となります(法人税法施行令72条の2第1項)。

〔損金不算入額の計算式〕
業務主宰役員給与額 損金不算入額
   65万円以下 業務主宰役員給与額(以下「給与額」)の全額
   65万円超  180万円以下 給与額×40%(65万円を下限)
  180万円超  360万円以下  72万円+(給与額−  180万円)×30%
  360万円超  660万円以下 126万円+(給与額−  360万円)×20%
  660万円超1,000万円以下 186万円+(給与額−  660万円)×10%
1,000万円超 220万円+(給与額−1,000万円)× 5%


〔損金不算入額の計算例〕
業務主宰役員給与額 1,200万円の場合
   損金不算入額 = 220万円 +(1,200万円−1,000万円)×5%=230万円


2)事業年度が1年に満たない場合

 事業年度が1年未満であるなど、その事業年度の業務主宰役員であった期間が1年に満たない場合には、いったん、業務主宰役員給与額を年換算した金額(業務主宰役員給与額×12/その事業年度の月数)を上記の表に当てはめて計算し、その結果算定された金額に「その事業年度の月数/12」を乗じて損金不算入額を計算します。


3)業務主宰役員に異動がある場合

 事業年度の途中で業務主宰役員に異動がある場合には、それぞれの業務主宰役員について損金不算入額を計算し、これを合算することとされています(法人税法施行令72条の2第1項後段)。なお、合算する必要があるのは、期中業務主宰役員が期末業務主宰役員に係る親族等の同族関係者である個人の場合に限られるので、期中業務主宰役員が他人である場合には、期末業務主宰役員のみで損金不算入額を計算することになります。

 [1] それぞれの給与額を年換算して損金不算入額を計算
期中業務主宰役員給与額 ×
12
業務主宰役員で
あった期間(※)
損金不算入額を計算(A)
期末業務主宰役員給与額 損金不算入額を計算(B)

 [2] それぞれ業務主宰役員であった期間に対応する金額を算定
(A)の金額 ×
業務主宰役員で
あった期間(※)
12
期中主宰役員損金不算入額 損金不算入額
(B)の金額 期末主宰役員損金不算入額
※1ヶ月未満の端数は1ヶ月とする(法令72条の2第10項)


〔具体的事例〕
(例題:4月1日から3月31日の事業年度の法人)
4月1日から10月31日までの業務主宰役員A(父)の役員給与 840万円
11月1日から3月31日までの業務主宰役員B(子)の役員給与 500万円

 (1) 期中の業務主宰役員Aの損金不算入額の計算
840万円×12/7ヶ月=1,440万円・・・速算表に当てはめる金額
【Aの損金不算入額】
220万円+(1,440万円−1,000万円)×5%=242万円
242万円×7/12ヶ月=141.1万円(従事期間相当額に割戻し)

 (2) 期末の業務主宰役員Bの損金不算入額の計算
500万円×12/5ヶ月=1,200万円・・・速算表に当てはめる金額
【Bの損金不算入額】
220万円+(1,200万円−1,000万円)×5%=230万円
230万円×5/12ヶ月=95.8万円(従事期間相当額に割戻し)

 (3) 損金不算入額  141.1万円+95.8万円=236.9万円


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