7.特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入 |
第32回 7−6 適用除外となる場合 |
掲載日:08/09/22
1)適用除外要件
特殊支配同族会社に該当する場合でも、つぎの要件に該当する事業年度については、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入の規定は適用されません(法人税法35条2項、法人税法施行令72条の2第8項)。
〔適用除外要件〕
(1) |
基準所得金額が1,600万円(※1)下の事業年度 |
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(2) |
基準所得金額が1,600万円(※1)超3,000万円以下であり、かつ、基準期間における業務主宰役員給与額の年平均額(※2)が基準所得金額の50%以下である事業年度 |
※1 |
平成18年4月1日から平成19年3月31日までの間に開始する事業年度については、「1,600万円」とあるのを「800万円」として判定します。 |
※2 |
各基準期間内事業年度等における業務主宰役員給与額の合計額
×12/その各基準期間内事業年度等の月数(1ヶ月未満の端数は切上)の合計数 |
平成19年度の税制改正で、(1)は「800万円」から「1,600万円」に引き上げられていますが、この見直しは「起業の更なる促進や活力ある中小企業の負担軽減をより重視する観点から見直されたものである」とされています。最低資本金の規制緩和など、新規開業を促進しようとする時代の流れもあって、この制度は批判の多いものであったのも事実です。
また、当時の国税庁の統計によると、黒字の中小企業の80%を占めるといわれる資本金2千万円未満の黒字法人の平均基準所得が1,570万円、赤字法人も含めると800万円強だったようで、これらの統計数値が引き上げ後のライン決定の参考になったものと考えられます。
2)基準期間
基準期間とは、その事業年度開始前3年以内に開始した各事業年度をいいます(法人税法施行令72条の2第5項)。ただし、特殊支配同族会社に該当しない事業年度以前の事業年度については、たとえ特殊支配同族会社に該当する事業年度があったとしても、基準期間には含まれません(法人税基本通達9−2−56)。すなわち、過去3年において、特殊支配同族会社に該当する最も新しい事業年度以降の事業年度のみが基準期間となります。
〔基準期間の判定〕
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