5.事前確定届出給与 |
第21回 5−2 事前確定届出給与の届出時期 |
掲載日:08/07/08
1)通常の場合:定時株主総会等の決議によるもの
つぎの(1)と(2)に掲げる日のいずれか早い日が届出期限となります(法人税法施行令69条2項1号)。
(1) |
株主総会、社員総会またはこれらに準ずるもの(株主総会等)の決議により、役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めをした場合における、その決議をした日(決議日が職務執行開始の日後である場合には、その開始の日)から1ヶ月を経過する日 |
(2) |
その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から4ヶ月を経過する日(保険会社にあっては、5ヶ月を経過する日) |
なお、職務執行開始の日については、その役員がいつから就任するかなどの個別事情によりますが、定時株主総会において役員に選任され、その日に就任した者および定時株主総会の開催日に現に役員である者(同日に退任する者を除く)については、その定時株主総会の開催日が職務執行開始の日となります(法基通9−2−16)。
会社法において、役員の選任やその職務執行の対価の決定が株主総会の決議によって行われること(会社法329条1項、332条1項、361条1項)、取締役は計算書類を定時株主総会に提出し、その承認を受けなければならないこと(会社法438条)などと規定されているところから、役員給与は定時株主総会からつぎの定時株主総会までの間の職務執行の対価と解するのが相当であるとの考えのもと、定時株主総会の開催日を職務執行開始の日と規定しているものです(平成18年6月公表の国税庁「役員給与に関するQ&A」)。
2)新設法人の場合
新たに設立した法人については、その設立の日以後2ヶ月を経過する日までとなります(法人税法施行令69条2項1号)。
3)臨時改定事由が生じたために新たに届出する場合
臨時改定事由により、その臨時改定事由に係る役員の職務につき新たに所定の時期に確定額を支給する旨の定めをすることとなった場合には、つぎの(1)と(2)に掲げる日のいずれか遅い日が届出期限とされています(法人税法施行令69条2項2号)。
(1) |
上記1)、2)において届出期限とされている日 |
(2) |
臨時改定事由が生じた日から1ヶ月を経過する日 |
この規定は、臨時改定事由が生じたことで新たに事前確定届出給与の定めをした場合を対象としているものなので、その前にすでに事前確定届出給与の定めがされている場合には、税務署長に届出をしていないとしても、この規定の対象とはなりません。
4)直前届出内容を変更できる場合(変更届出)
事前確定届出給与をすでに届出(直前届出という)ている法人が、その直前届出に係る定めの内容を変更したい場合で、つぎに掲げる事由に基因する変更であるときは、それぞれつぎに掲げる日となります(法人税法施行令69条3項)。
(1)臨時改定事由によるもの |
その臨時改定事由が生じた日から1ヶ月を経過する日 |
(2)業績悪化改定事由による
もの(減額改定に限る) |
その内容の変更に関する株主総会等の決議日から1ヶ月を経過する日 |
上記(2)の場合、直前届出による事前確定届出給与の支給日(変更の決議後最初に到来するものに限る)が、上記の1ヶ月を経過する日より前であるときは、その支給の日の前日までとなります。
5)適用時期
上記の取扱いは、いずれも平成19年4月1日以後に開始する事業年度から適用される。なお、平成18年4月1日から平成19年3月31日までに開始する事業年度については、つぎの(1)と(2)に掲げる日のいずれか早い日が届出期限となります。
(1) |
その給与に係る職務の執行を開始する日 |
(2) |
その事業年度開始日の属する会計期間開始の日から3ヶ月を経過する日 |
6)届出期限の宥恕規定
なお、届出期限には宥恕規定があり(法人税法施行令69条5項)、届出期限または変更届出期限までに届出がなかった場合でも、その届出がなかったことについてやむを得ない事情があると認められるときは、届出期限または変更届出期限までに届出があったものとして規定の適用をすることができるとされています。
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