5.事前確定届出給与
 第20回 5−1 事前確定届出給与の意義
掲載日:08/07/01

1)事前確定届出給与の概要

 事前確定届出給与とは、役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与および利益連動給与を除く)で、一定の届出期限までに所定の事項を記載した書類を、納税地の所轄税務署長に届出をしている給与をいいます(法人税法34条1項2号)。


2)「確定額」について

 事前確定届出給与に該当するには、「所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給される給与」であることが必要です。これは、支給時期、支給金額が事前に確定しており、実際にその定めどおりに支給されることを求めているので、届出額と実際の支給額が異なる場合には、原則としてその支給額の全額が損金不算入となります(法人税法基本通達9−2−14)。

 また、確定額には、現物資産により支給されるもの、支給額の上限のみを定めたもの、一定の条件を付すことにより支給額が変動するようなものなど、支給する金額が確定しているとはいえないようなものは含まれません(法人税法基本通達9−2−15)。



3)非同族会社の非常勤役員の場合の届出不要

 定期給与を支給しない非常勤役員に対し、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給される年俸または期間俸等について、その会社が同族会社に該当しない内国法人である場合には、所定の届出をしなくても事前確定届出給与に該当することとされています(法人税法34条1項2号カッコ書き、法人税法基本通達9−2−12の注書き)。

(参考:法人税法基本通達9−2−12の注書き)
(注) 非常勤役員に対し所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する年俸または期間俸等の給与のうち、次に掲げるものは、法第34条第1項第2号《事前確定届出給与》に規定する給与に該当する。
  (1) 同族会社に該当しない法人が支給する給与
  (2) 同族会社が支給する給与で令第69条第2項《事前確定届出給与の届出》に定めるところに従って納税地の所轄税務署長に届出をしているもの

 非同族会社のほか、医療法人や協同組合等は同族会社にはなり得ないので、これらの法人についても「同族会社に該当しない内国法人」に該当し、届出が不要となります。なお、同族会社に該当するかどうかの判定は、確定額を支給する旨の定めをした日(法人が設立した時に開始する職務についてした定めの場合には、法人の設立の日)の現況により行うこととされています(法人税法施行令69条4項)。

 この規定は、株主による牽制機能が働くであろう同族会社に該当しない法人であれば、利益調整目的による恣意的操作の恐れは低いだろうという点を考慮して、平成19年度の税制改正により新設されたもので、平成19年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています。


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