2.役員報酬
 第8回 2−3 役員賞与の取り扱いの変更
掲載日:08/04/08

1)会社法における役員賞与の取り扱い

 旧商法においては、役員賞与が報酬に含まれるとする説と、利益の分与たる性格であるとする説とがあり、後者が通説とされ、ほとんどの会社が、利益処分案にかかる決議をもって役員賞与を支給していました。
 平成18年施行の会社法では、第361条において、役員賞与も職務執行の対価として整理され、役員賞与の性格が明確に規定されることになりました。

 これに伴い、「役員賞与に関する会計基準」(平成17年11月29日付)が公表され、会計上も、費用処理に一本化されることとなりました。
 欧米にならって「業績連動型報酬」などの導入が進み、こういった報酬に関する取扱いが、平成14年の旧商法改正によって新設されました。業績連動型報酬については、通常の確定報酬と同じく職務執行の対価として支給されることにかわりはなく、会計上も費用処理がされてきました。


2)会計基準における取り扱い

 一方で、役員賞与は、利益をあげた功労に報いるために支給されるもので、利益の有無にかかわらず職務執行の対価として支給される役員報酬とは性格が異なるとの見解がありましたが、ある意味で会社の利益は職務執行の成果であり、業績連動型報酬と同様の性質のもので、職務執行の対価と考えられます。

 会社法の施行に加え、このような考えのもと、会計基準においても「役員賞与は、発生した会計期間の費用として処理する」という会計処理に統一されました。

(参考:役員賞与の会計処理)
【決算日】
 (借方)役員賞与引当金繰入額
 ×××   (貸方)役員賞与引当金  ×××
【株主総会の決議日】
 (借方)役員賞与引当金
 ×××   (貸方)未払役員賞与  ×××
【支給日】
 (借方)未払役員賞与
 ×××   (貸方)現金預金  ×××

 ※ 「役員賞与に関する会計基準」では、「当期の職務に係る役員賞与を期末後に開催される株主総会の決議事項とする場合には、当該支給は株主総会の決議事項が前提となるので、当該決議事項とする額またはその見込額(当事業年度の職務に係る額に限る)を原則として、引当金に計上する」と規定しており、仕訳例で示せば上記のとおりとなります。

 また、引当金計上した場合には、個別注記表の「重要な会計方針に係る事項に関する注記」として、「役員賞与引当金・・・役員に対する賞与の支給に備えるため、支給見込額の当期負担分を計上している」といった注記をする必要があります。


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