1.法人税法上の役員
 第2回 1−2 参考:委員会設置会社について
掲載日:08/03/03

 旧商法における委員会等設置会社は、現行の会社法において委員会設置会社 と名称が変更され、「指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「委員会」という。)を置く株式会社をいう」(会社法2条12号)と規定されています。


1)委員会設置会社の特徴

 委員会設置会社とは、監査役制度に代わり、過半数を社外取締役で構成した指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会を設置するとともに、業務執行を担当する役員として執行役を置き、取締役が経営を監督し、業務執行を執行役に委ねる形をとり、経営の監督機能と業務執行機能とを分離した会社をいいます。

(主な特徴)
(1) 監査役を置くことはできない。(会社法327条4項)
(2) 会計監査人を置かなければならない。(同327条5項)
(3) 取締役、執行役の任期は1年。(同332条3項、402条7項)
(4) 取締役は、別段の定めがある場合を除き、会社の業務を執行することができない。(同415条)
(5) 1人又は2人以上の執行役を置かなければならない。(同402条1項)
(6) 執行役は取締役会の決議により選任し、執行役は取締役を兼務することができる。(同402条2項、6項)
(7) 取締役は、使用人を兼務することができない。(同331条3項)
(8) 各委員会は、取締役会の決議によって選任された取締役3名以上で組織され、委員の過半数は、社外取締役でなければならない。(同400条)


2)各委員会の権限等

(1)指名委員会

 指名委員会は、株主総会に提出する取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役および会計参与)に関する選任および解任に関する議案の内容を決定する権限を有します(会社法404条1項)。

(2)監査委員会

 監査委員会は、つぎに掲げる権限を有します(会社法404条2項)。

 [1] 執行役および取締役(会計参与設置会社の場合は、会計参与を含む)の職務の執行の監査および監査報告の作成
 [2] 株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定

(3)報酬委員会

 報酬委員会は、執行役、取締役(会計参与設置会社の場合は、会計参与を含む)が受ける個人別の報酬の内容を決定する権限を有します(会社法404条3項)。



3)社外取締役について

 社外取締役とは、以下に該当する者をいいます(会社法2条15号)。

 [1] 株式会社の取締役であって、
 [2] その株式会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人でなく、
 [3] かつ、過去にその株式会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行 役または支配人その他の使用人となったことがないもの

 「業務執行取締役」とは、株式会社の代表取締役、代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの(会社法363条1項)およびその株式会社の業務を執行したその他の取締役をいいます。

 つまり、その株式会社またはその子会社の[1]代表取締役、[2]取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの、[3]それ以外の取締役で実際に会社の業務の執行をしたものは、社外取締役には該当しないことになります。

 ところで、会社法では「業務の執行」と「職務の執行」という言葉が出てきますが、この2つは異なる概念を指すものとして使われています。「業務の執行」とは、会社の業務の指し、「職務の執行」はその役職としての職務を指します。

 つぎのような行為は「職務の執行」には該当しますが、「業務の執行」には該当しないものとなります。
 [1] 監査委員による執行役等の行為の差し止め
 [2] 社外取締役による取締役会の招集、議論、議決権の行使
 [3] 社外取締役による株主総会の招集


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