1.法人税法上の役員
 第1回 1−1 法人税法における役員の範囲
掲載日:08/03/03

1)役員の範囲

 会社法329条では、取締役、会計参与および監査役を「役員」として定めています。また、会社法施行規則2条3項3号において、これらの者のほか、執行役、理事、監事その他これらに準ずる者を含めています。

 一方、法人税法では役員を「法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事および清算人ならびにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。」(法人税法2条15号)と定義し、会社法その他の法律上の役員よりも広い範囲となっています。
 法人税法上、役員の給与については損金不算入の規定があり、この適用を受けるかどうかという面において、「役員とは何であるか」という定義は重要なものとなります。

(法人税法上の役員の範囲)
(1) 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人
(2) 上記以外の者で、つぎのいずれかに該当するもの(法人税法施行令7条)
  [1] 法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る。[2]において同じ)以外の者で、その法人の経営に従事しているもの
  [2] 同族会社の使用人のうち、一定の要件を満たす特定株主等で、その会社の経営に従事しているもの


2)みなし役員

 1)の(法人税法上の役員の範囲)における(2)が税法独自に定めている「みなし役員」の規定で、経営に従事しているかどうかという実質的判定をもって役員の認定を行います。会社法その他法律上の役員に該当しなくても、「みなし役員」に該当すれば、役員報酬の損金不算入(法人税法34条)など、役員を対象とした規定の適用を受けることになります。
 特に同族会社については、たとえ使用人であっても、特定株主等で、経営に従事している場合には、役員とみなされるのです。

 なお、会計参与には監査法人や税理士法人が就任することも有り得ますが、税法上の役員には、これらの法人も含まれることになります(法人税法基本通達9−2−2)。
 また、執行役員を置く会社がありますが、委員会設置会社における執行役とは異なり、執行役員は会社法等の法律に規定された制度ではありません。したがって、会社によって委任契約か雇用契約の違いはあるものの、特定の事業部門に関して代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する「重要な使用人」(会社法362条4項3号)であるため、みなし役員に該当しない限り、税務上の役員とはなりません。
 執行役員制度では、取締役が取締役会の意思決定に参加するのに対し、執行役員は意思決定に直接は参加せず、取締役会から与えられた執行権限をもって担当する会社業務の執行を担当するため、通常の場合、みなし役員には該当しないことになります。


3)役員の範囲図表

 税法上の役員の範囲をまとめると、次のようになります。

税法上
の役員
本来の役員 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人
みなし役員 経営に従事
する右の者
法人の使用人以外の者
同族会社の使用人で特定の者


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