平成22年度改正で創設されたグループ法人税制の概要〜平成23年改正事項をフォロー
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 5.現物分配とグループ内法人の株式の発行法人への譲渡に係る損益の取扱い

 現物分配とは、剰余金の配当等またはみなし配当により株主等に金銭以外の資産を交付することをいう。100%支配グループ内ではない現物分配の場合は、現物分配を行う法人は、現物分配の対象となる資産を時価により譲渡したものとして譲渡損益を計上し、現物分配を受ける法人については、受取配当等の益金不算入の適用があり、みなし配当が生じる事由の場合は、現物分配法人の資本金等の額に対応する部分の金額を株式の譲渡対価として、現物分配法人株式の譲渡損益が計上される。

 今回の改正では、100%支配グループ内の現物分配の場合、現物分配法人においては、適格現物分配とされ、組織再編税制の一環として位置づけ、その移転する資産を帳簿価額により譲渡したものとして、譲渡損益を計上せず、源泉徴収も行わない。資産の移転を受けた法人においては、移転直前の帳簿価額相当額により取得したものとされ、その受けたことにより生ずる収益について益金不算入とされる。

 この場合において、移転直前の資産の帳簿価額相当額を利益積立金額に加算する。ただし、適格現物分配がみなし配当事由に係るものである場合には、株式または出資に対応する部分の金額は除かれる。これらの改正は、平成22年10月1日以後に現物分配(残余財産の分配にあっては、同日以後の解散によるものに限る)が行われる場合に適用される。

 一方、これまで株式をその発行法人に対して譲渡した場合には、その譲渡損益を計上することとされ、発行法人の分割型分割、資本の払戻し、残余財産の一部の分配または出資の払戻しが行われた場合にも、株式の部分譲渡として譲渡損益を計上することとされた。

 今回の改正では、100%支配グループ内の法人の株式を発行法人に対して譲渡する場合には、その株式の譲渡損益を計上せず、譲渡損益相当額を譲渡法人の資本金等の額に加減算することとされた。この改正は、平成22年10月1日以後に生ずるみなし配当事由により金銭等の交付を受ける場合等について適用される。なお、その事由が残余財産の分配の場合は、残余財産の分配をした他の内国法人が同日以後に解散したものに限られる。


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