平成22年度改正で創設されたグループ法人税制の概要〜平成23年改正事項をフォロー
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 3.100%支配グループ内の法人間の譲渡取引の損益の繰延べ

 グループ法人税制における主な見直し事項には、1)100%支配グループ内の法人間の譲渡取引の繰延べ、2)100%支配グループ内の法人からの受取配当の益金不算入(負債利子控除)、3)100%支配グループ内の法人間の寄附、4)100%支配グループ内の法人間の現物分配、5)100%支配グループ内の法人の株式の発行法人への譲渡に係る損益、6)大法人の100%支配子法人に係る中小企業向け特例措置の適用の見直し、などがある。

 まず、100%支配グループ内の資産の移転に伴う譲渡損益は、繰延べとなる。現行では、子会社間で工場の土地・建物を譲渡した場合には土地の含み益が譲渡益として課税されるが、グループ内の移転による課税の中立性・適正性の確保が必要との観点から、連結納税と同様、グループ内の資産の譲渡取引において生ずる損益については課税を繰り延べる。

 対象資産は、固定資産、土地、有価証券、金銭債権、繰延資産などだが、従前の連結納税制度における譲渡損益調整資産と同様に、商品等の棚卸資産や帳簿価格が1000万円に満たない少額の資産等は除かれるので、ある程度適用対象となる資産は限られる。

 この制度は、連結法人間取引の損益の調整制度を改組したもので、完全支配関係がある内国法人(普通法人または協同組合等に限る)間で一定の資産の移転を行ったことにより生ずる譲渡損益を、その資産のそのグループ外への移転等のときに、その移転を行った法人において計上する制度とされている。

 したがって、譲渡損益調整資産に係る繰り延べられた損益は、その資産を譲り受けた法人において、譲渡、償却、評価替え、時価評価、グループ離脱などの事由が生じたときに、順次実現させていくことになる。その譲渡損益を実現させることとなる事由は、その資産を譲り受けた法人に係る事由となるので、常に100%支配グループ一体での譲渡損益調整資産の管理が必要となる。

 この譲渡取引に係る損益の繰延制度の適用時期は、平成22年10月1日以後に行う譲渡損益調整資産の譲渡からとなる。


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