平成22年度改正で創設されたグループ法人税制の概要〜平成23年改正事項をフォロー
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 2.100%完全支配関係の範囲とは

 グループ法人税制は、資本金の大小に関係なく中小企業にも強制適用されるため、まず、100%完全支配関係の範囲を知ることが重要となる。その範囲には、次の5つの類型がある。1)親会社であるA法人が100%出資してB法人を設立した場合には、A、B両法人は当然ながら100%グループ内法人となる。同様に、2)A法人が100%出資してB、Cの2社を設立した場合も、A、B、Cの3法人が100%グループ法人となる。

 次に、3)A法人が100%出資してB法人を設立、その後A、B両法人が50%ずつ出資してC法人を設立したケースでは、A、B、Cの3法人が、さらに、4)出資者が法人ではなく個人の場合、個人Aがそれぞれ100%出資してB法人、C法人を設立したときには、B法人とC法人が、それぞれ100%グループ内法人となる。

 最後に、5)一定の同族関係者である個人Aと個人Bがそれぞれ出資してC法人、D法人を設立するといったケースで、例えば個人AがC法人に70%、D法人に60%出資し、個人BがC法人に30%、D法人に40%出資したときも、個人A、Bが法人C、法人Dに合計100%の出資をしていることから、C法人とD法人が100%グループ内法人となり、グループ法人税制が適用される。

 この場合の一定の同族関係者の範囲は、組織再編税制と同様に法人税法で規定する「同族関係者」と同様となる。すなわち、判定対象となる個人の6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族や事実上婚姻関係にある者など特殊な関係にある個人も含まれる。例えば、父とその子2人(兄と弟)がそれぞれ100%株式を保有している法人があるとすれば、これらの3法人それぞれが直接的な資本関係がない場合でも、法人税法上は一つのグループとしてグループ法人税制が適用されることになる。

 したがって、これらの法人間で資産の譲渡を行った場合は、グループ法人税制における譲渡取引の損益繰延べなどの対象となる。これまでは、資産の譲渡先が6親等内の血族などが支配する法人かどうかはあまり考えずに行ってきたと思われるが、グループ法人税制が適用される今年10月1日以後に何らかの資産を譲渡する場合には、その譲渡先が100%グループ内法人に該当するかどうかを確認する必要がある。

 なお、100%の判定に当たっては、1)自己株式を除く、2)5%未満の従業員持株会所有株式及び役員または使用人のストックオプション行使による所有株式を除く、3)間接支配を含む、とされている。


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