平成22年度改正で創設されたグループ法人税制の概要〜平成23年改正事項をフォロー
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 1.はじめに

 企業グループを対象とした法制度や会計制度が定着しつつあるなか、平成22年度税制改正において資本に関係する取引等に係る税制の見直しが行われたが、そのなかでもっとも注目されるのがグループ法人税制の創設である。これまで、グループ内取引に関する税制では、所得通算を前提とする連結納税制度があったが、所得通算を前提としないグループ法人(親会社と100%子会社)税制が導入された。

 グループ法人税制では、わが国企業が、分社化や完全子会社化による企業グループの形成など、企業グループの一体的な経営を展開している実態に着目して、100%支配関係にある法人グループ内の取引について、含み損益への課税を繰り延べるなど円滑に資産移転ができるようにするための、様々な課税上の特例措置が設けられている。

 例えば、100%支配グループ内(完全支配関係)にある法人間における資産の譲渡損益は、繰延べとなる特例がある。この特例は、平成13年度、14年度に相次いで導入された組織再編税制や連結納税制度においてすでに設けられているが、組織再編税制では、組織再編行為による一定の資産移転が適用対象であり、連結納税制度は、その適用を受けるかどうかはグループごとの選択性であり、同制度を選択しない限り特例の適用を受けることはない。

 ところが、グループ法人税制は、100%支配グループ内の取引であれば、強制的にその適用対象となる。さらに、完全支配関係にあれば、資本金規模に関わりなく、また、その頂点が個人・法人であるかに関わりなく適用される。つまり、グループ法人税制は、大企業グループだけの問題との誤解が一部にあるようだが、中小企業などの経営にも大きな影響がでてくるため、その内容を十分に理解しておくことが求められる。


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