2015年7月
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去る7月1日、平成27年分の相続税及び贈与税の課税における土地等の評価額の基準となる路線価等(以下、路線価)が全国の国税局・税務署で一斉に公開されました。
そこで今回は、路線価の動向についてご紹介したいと思います。 |
ご存知の通り、路線価は、毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として算定した価格の80%により評価されています。
平成27年分の宅地に係る全標準地(約32万9,000地点)の標準宅地の変動率の平均は、前年比0.4%減となりました。当レポートでも毎年路線価についてお伝えしておりますが、これでリーマンショック以降7年連続の下落となります。しかし、全国平均の下げ幅は前年より縮小しており、また三大都市圏(東京・大阪・愛知)の3都府県は連続で上昇、全国でみると上昇は前年の8都府県から10都府県に増えております。
■全国及び東京圏の標準宅地の変動率平均値 |
(単位:%) |
地域別変動率 |
平成27年分 |
平成26年分 |
平成25年分 |
全 国 |
▲0.4 |
▲0.7 |
▲1.8 |
東京都 |
+2.1 |
+1.8 |
▲0.3 |
神奈川県 |
+0.6 |
+0.8 |
▲0.2 |
埼玉県 |
+0.1 |
+0.1 |
▲1.3 |
千葉県 |
+0.3 |
+0.1 |
▲1.1 |
全国及び首都圏における平均路線価の変動率は上記の通りです。都道府県庁所在地の最高路線価は21都市(前年は18都市)で上昇しており、上げ幅のトップは、2020年の東京オリンピック開催を控える東京(14.2%)となりました。その他、駅前再開発が進む名古屋(11.5%)や北陸新幹線が開業した金沢(9.3%)など10都市で上昇率が5%を超えました。全体の総括としましては、円安の影響で国内外の資金が不動産投資に回ったこともあり、首都圏を中心とした都市圏では、横ばいまたは上昇傾向にあり、一方地方圏では、いまだ低迷・下落という二極化が鮮明となっています。
今年1月の税制改正により相続税の基礎控除が縮小されたため、路線価が上昇した都市部では課税対象者の拡大が見込まれます。今後も全国的にどのように推移していくのか注目していきたいところです。
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