2015年4月
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いつも当レポートをご愛読頂き、ありがとうございます。
今回は(1)3方路地の土地について広大地として更正の請求を行った事例、(2)角地の土地について広大地として更正の請求を行った事例をご紹介させていただきたいと思います。 |
事例(1)
評価対象地は埼玉県の某駅から徒歩圏外に存する整形な三方路地です。周辺の利用状況を調査したところ、評価対象地は一般住宅を中心とした住宅地域内に存し、評価対象地が存する地域の標準的な利用方法は100平方メートル程度の戸建住宅の敷地として利用することと判断できました。
相続時点 |
平成25年 |
画地条件 |
約1,300平方メートルの整形な三方路地 |
利用状況 |
自宅の敷地 |
用途地域 |
第一種住居地域 容積率200% |
最寄駅 |
徒歩約35分 |
≪事例(1)におけるポイント≫
評価対象地が広大地に該当するかどうかは、公共公益的施設用地の負担、つまり開発道路を入れて戸建分譲を行うか、または開発道路を入れずにいわゆる旗竿状の敷地で戸建分譲を行うかというポイントです。下記は当事務所が提出した開発想定図(左側)と、実際に税務署側が提示してきた開発想定図(右側)です。
当事務所で作成した開発想定図による区画数は11区画、税務署側が実際に提示してきた区画数も11区画であり、同じ区画数ですが、当事務所の区画割後の形状は全て整形地であり、一方、税務署側が提示した開発想定図の区画割後の形状は旗竿状の不整形地も含んでおります。
しかし、税務署側の見解としては、旗竿状で違和感なく区画割することが出来るのならば、開発道路を新設せずに戸建分譲できるとのことであり、広大地に該当しないとのことでした。
従って、事例(1)は広大地としての更正の請求は認められませんでした。
事例(2)
事例(2)の利用状況は事例(1)の近辺に存するため事例(1)と同様です。
相続時点 |
平成25年 |
画地条件 |
約1,100平方メートルの整形な角地 |
利用状況 |
駐車場 |
用途地域 |
第一種住居地域 容積率200% |
最寄駅 |
徒歩約35分 |
≪事例(2)におけるポイント≫
評価対象地が広大地に該当するかどうかは、事例(1)と同様、開発道路を伴うか否かがポイントとなります。
上記の左図は実際に当事務所が提出した開発想定図です。評価対象地は奥行きが約26mと広大地として認められるか否かの判断が分かれる奥行距離であり、上記の当事務所の開発想定図のように道路を新設して区画割りを想定した場合と旗竿状の区画割りを想定した場合の両方が考えられる土地です。
しかし、当事務所の意見書を添えて税務署に提出したところ、こちらにつきましては、広大地としての更正の請求を認めていただくことが出来ました。
本件事例(1)・(2)はいずれも形状が整形である三方路地または角地の土地ですが、広大地として認められるか否かのポイントは実際に分譲された事例の見せ方や開発想定図の作成の仕方によって結果は大きく変わる可能性があり、本件事例(2)のように認めていただけるケースもあります(残念ながら事例(1)は認めていただけませんでした)。こうした土地について広大地評価が認められるか否かについては、納税者側の土地評価の専門的な知識を取り入れた説明能力に懸かっていると言わざるを得ません。
当事務所では、広大地以外の土地評価のご相談も承っておりますので、評価等で悩まれることがございましたらお気軽にご連絡ください。
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