不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
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役所調査の結果、評価単位や評価方法が変わった事例
2015年2月

いつも当レポートをご愛読頂き、ありがとうございます。
確定申告もはじまり、先生方も忙しさが増していることと存じます。忙しい合間の骨休めに、当レポートをご覧いただければ幸いです。
今回は、当事務所で役所調査をした結果、当初予定していた評価単位や評価方法が変わった事例を2事例ご紹介します。


事例1

 1筆の土地上に自宅及び貸戸建の敷地として利用されていたことから、現地調査時には自用地と貸家建付地に利用単位を分けて評価する予定でしたが、自宅の通路として利用している部分が役所調査により幅員4mの位置指定道路(建築基準法42条1項5号)が指定されていたことが判明しました。


 現在の指定基準では位置指定する道路部分と宅地部分が明確にわかるように道路部分を分筆する必要があるため、公図を確認すること等により事前に位置指定道路に指定されていることを比較的容易に把握することが可能です。ただし、今回の事例のように土地は分筆されておらず、外見も道路の形状をなしていない場合であっても位置指定道路に指定されている可能性があることに留意する必要があります。尚、今回の事例では昭和44年に指定されていたため、相続人様もこの事実は御存知ありませんでした。

 この結果を受けて、当初は、(1)自用地と、(2)貸家建付地の2つの評価単位として評価する予定でいたところ、最終的には、(1)自用地、(2)貸家建付地、(3)私道の3つの評価単位に分けたことにより土地の評価減に繋がりました。


事例2

 評価対象地485−1、486−1は一体で850平方メートルあり、南側と北側の二方路地で2階建の賃貸共同住宅の敷地として利用されていました。現地調査において、北側道路は通行が可能であるものの、幅員が1.20m程度であったことから役所調査をしたところ、担当課の職員から42条2項道路であるとの回答を得ました。

 その後、建築計画概要書等の賃貸共同住宅建築時の資料を取得し、資料と現地調査の結果を照らし合わせたところ、建築時にセットバックがされていないことに疑問が生じ、改めて別の職員に確認したところ、評価対象地が北側で接面する部分は、建築基準法外道路であることが確認できました。

 よって、北側道路からはセットバックによる減価ができない一方で、評価対象地は、南側の42条1項1号道路のみに接する中間画地となることから、周辺の利用状況を考慮し、最有効使用が戸建分譲素地である評価対象地は広大地を適用して大幅に評価減することに繋がりました。

 今回のように役所から得られる情報が誤っていることは稀ですが、現地調査や資料収集が不十分ですと気付かずに高い評価を行ってしまう場合がありますのでご注意ください。

 今回取り上げました事例は、公図や現地確認、相続人様からの聞き取りからでは判断ができず、役所調査や担当課と協議をしないと見落としてしまう内容です。

 また、調査内容によっては、担当課の職員の実地検証を要するため、回答を得るのに相当の期間を要することになります。土地評価の際には、予め余裕を持って現地調査、役所調査をされることをお勧めします。

 当事務所では、先生方が既に申告を済まされた案件についてのご相談も受け付けております。首都圏内はもちろん、首都圏以外の土地評価についても対応しております。お電話のほか、FAX、Eメールでの相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡下さい。






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