不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
レポート一覧はこちら

評価対象地の全面道路
2014年10月

いつも当レポートをご愛読頂き、ありがとうございます。
今回は評価対象地の前面道路について、当事務所で評価した事例をもとにご紹介します。


 財産評価基本通達24−6(セットバックを必要とする宅地の評価)において、『建築基準法第42条第2項に規定する道路に面しており、将来、建物の建替え時等に同法の規定に基づき道路敷きとして提供しなければならない部分を有する宅地の価額は、その宅地について道路敷きとして提供する必要がないものとした場合の価額から、その価額に次の算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。』と定められており、セットバック部分の評価は、通常どおり評価した価額から70%相当額を控除して評価することとなっています。

 建築物の敷地は、原則として建築基準法に定める幅員4m以上の道路に、間口が2m以上接していなければ建築できません。一方で、建築基準法が適用される以前、または都市計画区域に編入される以前から存在し、それに沿って建物が建ち並んでいたような道路で特定行政庁の指定を受けたものは、道路とみなすことになっています。

 セットバックとは、建築基準法上の道路とみなされて建物の建築が可能となる代わりに、道路の中心線から2m後退させ、将来的に4mの道路幅を確保しようとするもので、この後退のことを言います。

 簡単に図解で示すと下記のとおりです。


【例】
敷地面積100平方メートル
前面道路3m
路線価110千円/平方メートル









【計算】
110千円×100平方メートル=11,000,000円
11,000,000円−(11,000,000円×5平方メートル/100平方メートル×0.7)=10,615,000円

 セットバックを必要とする宅地のセットバック部分の評価は、通常どおり評価した価額から70%相当額を控除して評価することとなっているのに対し、セットバック済の部分の評価は、道路として評価することができます。

 次の事例は、東京都内の二方路地の裏面道路を調査した結果です。対象の道路は、行止り型の私道で建築基準法第42条第2項に規定する道路でした。

 側面図の左側が対象地です。公図上では、ブロック塀までが対象地であることが確認できました。L形側溝とブロック塀には、高低差が60cm程度あり、車や人が通れる部分は3.5mです。また、砂利敷の空地には、植木鉢等も置かれ、一見、L形側溝とブロック塀の間が道路境界線であり、セットバックを必要とする宅地と思われました。しかし、区役所で細かく調査(隣地の建築概要書や建築指導課との協議)を行うことにより、砂利敷空地までが道路であり、セットバック済の宅地であることが確認できました。そのため、実際の評価では、セットバック済の砂利敷空地及びブロック塀部分を敷地面積から控除し、評価を行いました。

【側面図】
【側面図】

 今回取り上げました内容は、公図等から判断ができず、現地や役所でより細かく調査しないと見落としてしまう内容でした。路線価が高い地域や、間口が広い敷地は、評価額に大きく差が出てしまいますので、より慎重に調査を行う必要があります。

 当事務所では、先生方が既に申告を済まされた案件について、土地の減価要因を見落としていたのではないか等の理由による更正の請求のご相談も受け付けております。首都圏内はもちろん、首都圏以外の広大地案件についても対応しております。

 お電話のほか、FAX、Eメールでの相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。






▼ 広大地評価・判定の詳しい情報はこちらをクリック! ▼
沖田不動産鑑定士・税理士事務所