不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
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広大地評価における路線が2つ以上ある場合の事例
2014年6月

いつも当レポートをご愛読頂き、ありがとうございます。
今回は広大地の評価につき、路線が2以上ある場合の取扱いについて、当事務所で評価した事例をもとにご紹介します。


 財産評価基本通達24−4(広大地の評価)の(注)2において、『「その広大地の面する路線の路線価」はその路線が2以上ある場合には、原則として、その広大地が面する路線の路線価のうち最も高いものとする。』と定められており、広大地の評価規定により評価する場合には、複数の路線(側方路線、裏面路線)を有する評価対象地であっても、一方路線のみによって評価し、その路線は、原則として、当該複数の路線のうち最も高いものとすることとされています。図解で示すと下記のとおりです。


(取扱い)
 上記の事例において、『その広大地の面する路線の路線価』は200千円となり。評価対象地の相続税評価額は下記の計算のとおり、270,000千円となります。

【計算】
 200千円 ×  0.45  × 3,000平方メートル=270,000千円
(正面路線価) (広大地補正率)   (地 積)      (相続税評価額)

広大地補正率…0.6−0.05 ×   3,000平方メートル  = 0.45
1,000平方メートル

 一方、上記の「原則として」に対し、例外的な取扱いとして下図のとおり路線価の高い方の路線の影響を受ける度合いが著しく低いと認められる場合等も想定されるものと考えられます。


 上記の各事例において、路線価の高い方の路線(200千円)の影響を受ける度合いが著しく低いと認められる場合には、その広大地である評価対象地の影響を受ける度合いの最も高いと認められる路線(上図の場合は150千円の路線)を正面路線として取り扱う事が出来るものとも考えられ、その場合、上記の各事例の相続税評価額はいずれも、202,500千円となります。

 なお、上記において、「路線価の高い方の路線の影響を受ける度合いが著しく低いと認められる場合」とは、一般的に、上記の各事例のように路線価の高い方に接面する間口の長さが極端に短く、例えば接道義務を果たせない(=建築確認許可が下りない)、及び開発行為を想定した場合に開発道路を設置できない等が考えられます。

 当事務所で評価した事例については、評価対象地は県道と市道に接する角地状の敷地であり、路線価の高い県道に間口全長のうち1割程度(約8m)接している、現況月極駐車場として利用されている敷地でした。

 一見すると、県道にある程度(約8m)接しているため、「影響を受ける度合いが著しく低い」とまでは言えないものとも考えられますが、戸建の区画割りを想定した場合、実際に県道の影響を受ける(県道に接面する)のは1区画のみであることが分かりました。

 下図のとおり区画割りを想定した場合、区画のほとんどは路線価の低い市道及びその市道に接続する開発道路に接面しており、いずれも路線価の低い市道の価格水準を中心とした価格形成や値付けがされるものと考えられます。


 一方、路線価の高い県道の価格水準によって値付けがなされるのは1区画のみであり評価対象地が路線価の高い県道の影響を受ける度合いが著しく低いものと認められるものとして、課税当局に主張した結果、是認されました。

 今回取り上げました内容は、数値等の定められた基準が無く、課税当局に対する説明能力の如何によって結果が分かれるものと思われます。また、上記の主張を行うために周辺の不動産市況や行政機関の条例等の調査も不可欠です。

 当事務所では、先生方が既に申告を済まされた案件についての更正の請求のご相談も受け付けております。首都圏内はもちろん、首都圏以外の広大地案件についても対応しております。

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